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ヘンリー・ダーガー

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

ジョン・M. マグレガー / 作品社


 私が物語を綴ることに興味を持ったのは、高校1年生のときにヘンリー・ダーガー(もしくはダージャー)を知って以降のことだ。砧図書館でこの本を借りて、雨上がりの世田谷の街を散歩しているときに、自分も物語を綴ろう、とふと思ったのだ。あれからもう8年もたつ。
 ヘンリー・ダーガーは誰かに読ませたいとか、誰かに買ってほしいとか、そういうことではなく、自分の慰めのために物語を綴った。それはタイプライターで清書された1万5145頁に及ぶ物語と300枚の平面画によって構築された『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』(The Story of the Vivian Girls, in What is Known as the Realms of the Unreal, of the Glandeco-Angelinnian War Storm, Caused by the Child Slave Rebellion)である。
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by suikageiju | 2009-06-22 13:57 | 感想 | Trackback | Comments(0)
東方綺譚

東方綺譚 (Noveletoj Orientaj)

マルグリット・ユルスナール / 白水社

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 大学一年生のときに図書館の3階のフランス文学の棚で『ハドリアヌス帝』と『黒の過程』を読んで、こういう歴史物語を書いてもいいのだと知った。その当時は「斬首されたカーリー女神」の卑猥さを好んだが、今は「源氏の君の最後の恋」の最後で見せる花散里の表情や「死者の乳」で人柱にされていく過程の女の描写などが好きになった。文学なのだ。
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by suikageiju | 2009-06-14 16:28 | 感想 | Trackback | Comments(0)
審判

審判 (La Proceso)

カフカ / 岩波書店

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 原題の『Der Process』が「訴訟」と「経過」の二義性を持つ言葉であるように、この物語は「訴訟」と単なる事物の「経過」の物語である。カフカの物語はその普通名詞性にこそ魅力がある。そして彼の書き方を知っていれば本文よりも「未完成の章」や「著者によって抹殺された箇所」の方にこそ興味は向く。
「犬のようだ!」

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by suikageiju | 2009-06-13 17:28 | 感想 | Trackback | Comments(0)
どちらでもいい

どちらでもいい (Estas egale)

アゴタ クリストフ / 早川書房

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 アゴタ・クリストフは『文盲』を読めばわかるように母語ではない「敵語」のフランス語で書いている。外国語で物語を書いたことがある者ならわかると思うが、最初期はどうあがいても掌編しか書けない。
 私の掌編が持つ文体には多分にこの掌編集の影響がある。
この世の何処にも、父がわたしと手をつないで散歩した場所はありません。

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by suikageiju | 2009-06-11 09:14 | 感想 | Trackback | Comments(0)
サンクチュアリ

サンクチュアリ (Sanktejo)

フォークナー / 新潮社

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 何が起こったのか、何が行われているのか、誰が来て、どこへ行き、何をするのか。さっぱりわからなかったけれど読んでいて飽きさせなかった。フォークナーの魔術だ。
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by suikageiju | 2009-06-08 09:48 | 感想 | Trackback | Comments(0)
フォークナー短編集

フォークナー短編集 (rakontaro de Faulkner)

フォークナー / 新潮社

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 英語の構造がそうさせるかのか、英語の翻訳者がそうさせるのかは知らないが、私は英米文学が苦手だ。イタリア文学やスペイン・ラテンアメリカ文学などのロマンス語系の海外文学がすっと頭に入るのに比べて、英語の文学作品は読んでもなかなか頭に入らない。フォークナーもそうである。しかし「Jealousy」「Read Leaves」「A Rose for Emily」は頭に入った。「Jealousy」のように人間の感情の一側面だけを描いたものは好きだ。短編の真骨頂といえる。
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by suikageiju | 2009-06-04 00:35 | 感想 | Trackback | Comments(0)