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オイディプス王

オイディプス王 (Reĝo Edipo)

ソポクレス / 岩波書店

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 ガブリエル・ガルシア・マルケスが関税法に関してコロンビア一詳しい男に「作家として大成したければ、ギリシアの古典を読まなければいけないよ」と言われて手渡された本である。神託によって告げられた運命に抗えなかったオイディプス王が、最後に自分の両目を潰して
こうなったのはアポロンのため、親しき友らよ。それはアポロン―
このわしの こんな苦しい受難の運命をもたらしたのは。
だが両の眼を突き刺したのは ほかならぬみじめなわし自身。

と叫ぶのは悲痛だ。人物配置も謎の解き明かしも一切無駄がない。完成された物語だ。
 気になるのはスフィンクスの存在。ライオス王の死とともにテバイの人々に謎をかけ、命を奪っていた女面獅身はオイディプスの実の姉妹とも言われている。彼女はいったい何を暗示しているのだろうか?
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by suikageiju | 2009-07-24 09:40 | 感想 | Trackback | Comments(0)
愛その他の悪霊について

愛その他の悪霊について
(Pri la amo kaj aliaj demonoj)

ガブリエル ガルシア=マルケス / 新潮社

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 まるで髪長姫の童話を読んでいるような気分にさせられた。『愛その他の悪霊』の「愛」とは、産まれてから一度も切ったことのない髪をマントのようにひきずっている12歳で混血の侯爵令嬢シエルバ・マリアのことであり、彼女はカサルドゥエロ侯爵に見捨てられて奴隷小屋で成長し、犬に噛まれて狂犬病にかかって悪魔祓いによって殺された。「その他の悪霊」とはシエルバ・マリアを悪魔憑きとして扱った修道女や修道院長や司教のことだ。
 あらすじはここで書くことはないが、脇役が魅力的だ。「昔のほんもののキリスト教徒のようにふるまった」と評された新副王ドン・ロドリーゴ・デ・ブエン・ロサーノ。恐怖におびえるシエルバ・マリアに黒人の数珠を返して安心させてやったトマス・デ・アキーノ・デ・ナルバエス神父。トマス・デ・アキーノ神父は修道院に囚われたシエルバ・マリアを解放しそうな役柄で、大人物であることを読者に見せながらもわずか4ページで貯水槽に浮かんで死んでいた。
 この物語の舞台と『コレラの時代の愛』の舞台は一致している。ウルビーノ家の最初の家は旧カサルドゥエロ侯爵邸であり、その近所にあったディビナ・パストーラの精神病院はこの作品にも登場する。2つの作品を読み比べるといいだろう。
 彼は人差し指と親指で十字架を持って掲げた。
「神の名において聞く―何者だ?」と彼はたずねた。
「苦悶する魂です」と彼女は答えた。

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by suikageiju | 2009-07-07 09:44 | 感想 | Trackback | Comments(0)