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パリ・ロンドン放浪記

パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫)

小野寺 健 / 岩波書店


 パリのレストランやホテルで食事をしたくなくなること請け合いの一品。これは『1984』や『動物農場』で知られるようになる作家ジョージ・オーウェルがビルマでの警察官勤務のあと、パリやロンドンで送った放浪生活とそこで出会った浮浪者について記したルポルタージュである。
 パリ編では主にボリスというロシアの元軍人と行動を共にしてホテルの皿洗いやレストランの皿洗いとして働いた様子を描き、ロンドン編ではスパイクからスパイクへと移動する放浪生活を描いている。パリのホテルやレストランの不衛生な厨房と不潔な料理と南京虫の行列に吐き気を覚え、スパイクではこびりつく垢の描写に美しささえ感じるだろう。
 ロンドン編では浮浪者について社会的な考察も書いてある。この本で特に印象に残ったのは教会や宗教関係者の慈善や施しに対する浮浪者の態度である。ジョージ・オーウェルは印象的な一文を残している、「慈善を受ける者は、必ずと言っていいほど、与えてくれる人間を憎むものだ」
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by suikageiju | 2010-04-22 09:45 | 感想 | Trackback | Comments(0)
西瓜糖文学賞ポップ
 古書ビビビさまに西瓜糖文学賞の告知ポップを置かせてもらった。将来の受賞者のための広告である。QRコードをケータイで読み取ると詳しい応募規定を参照できる。作品を書きあぐねているのであれば、『コルキータ』を読んで発想のヒントにしてくれると嬉しい。
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by suikageiju | 2010-04-16 20:01 | 古書ビビビ | Trackback | Comments(0)
ギリシア奇談集

ギリシア奇談集 (岩波文庫)

アイリアノス / 岩波書店


 これは奇談集である。それゆえに諧謔は少ない。ただ奇談であるがゆえに、多島海世界を生きるギリシア人たちの息遣いを感じることができる。ソクラテスもディオゲネスもプラトンもアリストテレスもアレクサンドロスもテミストクレスもレオニダスもペリクレスもエパメイノンダスもこの奇談集では一登場人物として登場する。この奇談集を流れる空気の味わいは『アナバシス』の味わいと同じである。橄欖と葡萄酒と毒人参の味わい。ちなみにクセノポンもこの『ギリシア奇談集』に美しい武具が好きな人物として登場する。特に気に入ったのは「領民に会話を禁じた僭主の話」で、鯨はこれの末尾に創作を加えて短い物語をつくった。
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by suikageiju | 2010-04-02 18:13 | 感想 | Trackback | Comments(0)