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古書ビビビさんに『ガリア女』を納品
 本日、下北沢は古書ビビビさんに第十三回文学フリマ新刊『ガリア女』の在庫をすべて納めた。鯨の手もとにはもう何の本も無い。最初に古書ビビビさんに本を納めたのは2010年1月7日、あれから来月で2年間のお付き合いとなる。
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 古書ビビビさんと鯨との出会いは5年前だ。高校の後輩に連れられていった古書ビビビさんはまだ旧店舗で5人も客が入れば足の踏み場もないほど狭く、その中に所狭しと古書が並べられていた。その佇まいに魅了されたが、なかでも印象に残ったのは西間木隼人さんの絵本だった。その見本誌の奥付を見ると、商業出版ではなく自主制作本であったのだ。その完成度にちょっとしたショックを受けた。「こんな本を自分でも作って、古書ビビビさんに置いてもらいたい」、当時の鯨はそう願った。
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 その願いは2009年に西瓜鯨油社を創設したことで実現に近づく。そしてtwitterでのやりとりをきっかけにして『掌編集』と『コルキータ』を古書ビビビさんに委託することができるようになった。古書ビビビさんの棚が増えていくのに比例して頒布数が増え、今までに70冊以上を販売してくれた。この西瓜鯨油社の委託を契機にしてかは知らないけれど、文学フリマに参加されているサークルさんが古書ビビビさんに委託するようになった。未来回路製作所さん、恋と童貞さん、ことのはさん、などである。
 鈴木真悟さんらがセブンイレブンのネットプリントを媒体として出している『シュピーレン』に「文学フリマで売られている同人誌をイベント以外で買うには?」という記事があり、文学フリマ参加サークルの委託先として模索舎タコシェComic Zin、ジュンク堂や密林社などを紹介している。その他に「サークルの人脈を生かした様々な店舗」とあり、これが古書ビビビさんに該当するのだろうか。大概のサークルではこれらのうちの複数の委託先に委託しているという。西瓜鯨油社も今は古書ビビビさんの他に、密林社さんに代行してもらってamazonに委託して通信販売もしている。
 以前の弊社は中野ブロードウェイのタコシェさんにも委託していたが、古書ビビビさんの手前もあり、引き上げた。第十二回文学フリマでとらのあなの営業さんが弊社を訪問してくださったが、「委託は今は考えていない」と返答した。西瓜鯨油社にとらのあなのカラーが似合わないのと、やはり古書ビビビさんの手前もあるからである。鯨は古書ビビビさんを「委託先」とは考えていない。「仲間」と考えている。NMB48も訪れたという古書店さんを「仲間」だなんて不遜だと思われるかもしれないし、徳川さんがどうお考えかも知らないけれど、鯨は勝手に「仲間」だと考えている。だから委託して、それっきり「頑張って売ってください」ということにはできないのだ。委託した以上は「定期的に訪れて本の納品をする」「ポップなどを設けて更新していく」などのメンテナンスをしよう、西瓜鯨油社をきっかけに古書ビビビさんを好きになってくれるお客さんが増えてくれればいい、古書ビビビさんで出会った西瓜鯨油社の本をきっかけに文学フリマを知ってくれればいいと考えている。そうすると、西瓜鯨油社は牟礼鯨の個人サークルで人手が足りないので、他のサークルさんのように複数の委託先店舗を持つことができない、古書ビビビさんだけに委託、ということになった。もちろん間隔はだいぶあいてしまっているけれど、定期的に納品はなんとかできているし、写真のようにLumiereさんの協力もあってポップも更新できている。かつてはイベント誘致ポップも置いて貰っていた。以後もこんな関係を続けていけたらな、と思っている。
 文学フリマが発展していくひとつの道として古書ビビビさんのような文芸同人誌を受け入れてくれる個人経営の古書店・本屋さんが各地で増えるという手段がある。たとえば文学フリマのとあるサークルがその本屋さんに「自分たちの本を委託してもらいたい」と言う。店主さんがそれを受諾し、「では納品書を出してくれ」と頼む。そこでサークルが「ところで、お店の名前はなんというのですか? 」と問いかけたとしたら、どうだろう。あるいはお店の名前は知っていたとしても返品するときに取りに来なかったり、何年も顔を見せず売りっぱなしにされたら。次にやってきたサークルの新しい文芸同人誌を二つ返事で受け入れてくれるだろうか。それで文学フリマの裾野は永続的に広がっていくのだろうか。
 もちろん文学フリマ参加サークルに限ってはそんな投げっ放し委託はしないと思う。それに少部数出版を専門に取り扱う店舗のなかはそれが社会的使命なのだから「そういうものだ」と気にしないところもあると思う。だが、委託する前に「この委託は今後も自分たちでメンテナンスできるような委託なのだろうか」「この委託は自分のサークルの本を売るためだけの委託にならず、委託先にも何らかの益のあるようなことを仕掛けられないか」、そう踏みとどまる余裕が全ての創作文芸サークルにあってもいいのではないかと考えている。
 鯨は余裕のない単なる「売ってくれ」委託を憂う。そして委託先店舗と創作文芸サークルとの関係がいつまでも続く発展する関係になればいいと願う。
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by suikageiju | 2011-12-17 19:30 | 古書ビビビ | Trackback | Comments(0)