<   2012年 07月 ( 5 )   > この月の画像一覧
西瓜鯨油探偵社へようこそ!
「こちらは西瓜鯨油探偵社ですか」
 と事務所の扉を開けた六角に、毎週土曜日恒例のエロサイト巡回をしていた牟礼がブラウザを消しながら応える。
「そうです。あなたのためにある探偵社、西瓜鯨油探偵社です」
 促されるがままに六角は、桃花心木製の机を挟み牟礼と対峙して座る。すぐに牟礼が探偵助手と紹介した、二十六歳にしか見えない女性が氷の浮いた烏龍茶の入ったグラスをもってきて六角の前に置く。探偵助手は瞬く間に隣の部屋に消えた。六角の目にはどうみても助手が二十六歳にしか見えなかったのであとで確かめようと思った。グラスのまわりに生えた露でコースターが少しずつ湿っていく。事務所の冷房はよく効いている。
「それで、どんな依頼ですか」
 牟礼が口火を切った。
「まことに言いにくいのですが」
 そう六角が言いよどむと、牟礼は机の上に両肘をついて両手を揉みながら身を乗り出した。
「言いにくいことを解決するのが、我が探偵社の使命です」
 六角はグラスに口をつけ烏龍茶で舌を湿らしてから言う。
「彼女の住所を知りたいんです」
 牟礼は机の端に置いてあったブロック・メモ帳を引き寄せると胸ポケットに差してあったジェットストリームの黒ボールペンをカチッと鳴らし、何かを書き付けた。
「今つきあっている彼女ですか、それともすでに別れた彼女ですか」
 牟礼の質問に息をつまらせそうになりながら六角は応える。
「すでに別れた、と思う彼女です」
 牟礼の質問は途切れることはない。
「『と、思う』というのは明確な別れを告げられたわけではないということですか」
「はい」
 六角は落ち着きを取り戻した。いや、落ち着いたわけではない。この事務所に入ったときの状態に戻っただけだ。
「急に音信不通になった。メールを出しても電話をかけても返事はない。どうしたものか分からない。それこそまだ付き合っているのかそれとも別れたのかどうかも定かではない。そこで直接会いたくなった。でも住所を訊いていなかった。ああ、どうしたらいいんだ、で、この事務所にやってきた、そんなところですか」
 たたみかける牟礼に六角は押され気味になりながらも返す。
「……はい」
 牟礼探偵はこの手の依頼には慣れているのだろう。
「そこであなたが知りたいのはその彼女さんの住所で間違いないですか」
「はい」
 その六角の返事を聞いて、牟礼は姿勢を正した。
「無料相談はここまで。ここからは料金が発生します。前金は五千円。これは今日の話が終わってから戴きます。それで、あなたが住所を知ったときに成功報酬をいただきます、その額が五万円。もしその住所が違っていたり、住所が見つからなかったりすれば成功報酬はいただきません。ただ、失敗した場合でも前金の五千円は返金いたしかねます。お支払いは住所情報を渡してから一週間以内でお願いします。それでは料金発生の話をすすめてもでよろしいですか」
 牟礼にまくしたてられた勢いで「調べてくださるのですか」と六角は言ってしまう。牟礼はにやりと口角をあげる。
「はい、あなたはどうやら誠実な人柄の男性のようです。ぜひともあなたの手助けをしたい。それと言い忘れましたが、もし住所がわかっても白枝さんに別の男性がいた、いわゆるアバズレの場合、あるいは復縁……いやいやちゃんとした関係に戻れなかった場合でも成功報酬はお支払いいただきます。よろしいですね」
「はい」
「そこらへんの身辺調査はまた別料金となります。それでは料金発生の話をすすめてもいいですね」
 六角は頭を前に一回だけ垂らした。それが彼の本心だったのかどうかはわからない。
「それでは本題にいきましょう。あなたは社会人ですね。その彼女も社会人ですか。職業とお名前など知っている情報をお願いします」
 自分が社会人であると見抜かれて、六角は驚いたようだった。それと同時に六角も身を乗り出す。何か期待のようなものを抱いてしまったのかもしれない。
「彼女、その白枝睦月は社会人ではなく、大学生、小鹿女子大学文学部仏蘭西学科の三年生です。誕生日は六月十二日、二十一歳。趣味はゴルフ。サークルには入っていません、バイトもしていなかったように思います」
 それをすらすらと牟礼はメモ帳に記していく。
「あとは」
 六角は机の角を見ながら眉間に皺を寄せる。その角を牟礼も見る。
「とりあえず、そのくらいでしょうか」
 牟礼はペンを置き、目の前で両手の指を組み合わせた。
「白枝さんの最寄り駅、ご両親のお名前、ご両親の職業はわかりますか」
「最寄り駅は小田急線の喜多見駅、両親の名前はちょっとわかりません。職業も、わかりません」
 すまなそうに六角は答えた。だが済まなそうにする必要はあったのか。
「白枝さんの中学・高校も東京ですか」
「えっ」
 六角は驚いた表情を見せる。
「さあ、でもずっと東京だと聞いたような気がします」
「では一人暮らしではなさそうですね。それでは白枝さんのご自宅は一軒家ですか、それとも集合住宅ですか」
 六角は首をひねる。
「さあ、どちらでしょう」
「思い出してください。白枝さんと話したエピソードを一つ一つ思い出してください。帰りに母親からお買い物を頼まれた話を聞いたことはありませんか。近所のおばさんとこんな話をしたなどくだらないエピソードを聞いたことはありませんか。どんな些細なことでもいいです。愛のささやきの合間に話したこと、ピロートーク、なんでも、お話しください。もちろん今までの情報でも尾行調査で白枝さんの住所は見つかるはずです。データベースでも見つけられるでしょう。でも尾行というのはなんとも野蛮なやり方です。前時代的で二十世紀的です。それにターゲットに見つかってしまう危険性もある。そしてデータベースの出所はもちろん違法だ。そんな手はなるべくなら使いたくない。なのでスマートに調査を完了させたいと思います。そのために六角さんが実際に見聞きした白枝さんの情報はとても貴重なのです。さあ、思い出してください。どんな些細なことでもいいです」
 そう言って牟礼はさらに上半身を乗り出した。六角は目を閉じ、白枝睦月との思い出を回想する。
「その、よく駅前のミスタードーナッツで朝食を済ませるとか、野川沿いをよく散歩すると言っていました」
 牟礼はにこやかに笑顔を浮かべる
「いずれも糞情報ですね。ちょっと作業をします。しばらく白枝さんとの思い出を回想していてください。何かを思い出したらすぐにおっしゃってください」
 六角はムッとしたようだがすぐに言われた通りに再び回想しはじめた。そうさせる必要は本当にあったのか? その間に牟礼はパソコンに向かいキーボードとマウスで何かを操作する。五分後、「おそらく白枝家は集合住宅でしょうね」と言ってマウスをクリックすると牟礼は両手を頭のうしろに置いて後ろに凭れた。
「なんでわかったんですか」
「それは企業秘密です。さて何か他に思い出しましたか。白枝さんのよく着る服とか覚えていらっしゃいますか」
「それは、どうでしょう。下着なら覚えているのですが」
 あきれたように牟礼はメモをとりながら両肩をもちあげる。
「男性はえてしてそういうものです。だが下着では情報として薄い。女子大生の下着を堂々と外に干すご家庭は少ないですからね」
「はあ」
「他に何も思い出しませんか」
「残念ながら」
 牟礼はわざとらしく大きなため息をついた。
「まったく、愛するだの恋するだのは相手の情報をしっかりつかんでからやってくださいよ。ご両親の名前、住所、電話番号なんでもいいんです。そういった情報をしっかりつかんでからいっぱいしのことを言ってもらいたいものです」
「すみません」
 そう弱気になった六角を取り直すように牟礼は声をかける。
「いえ、こちらも言い過ぎました。とにかくこの情報で調査しましょう。三日後にまたこちらからお電話をさしあげます。それでは助手に五千円を支払っておいてください。領収書はいりますか」
「あ、はい」
 六角は立ち上がる。気落ちしてしまった依頼者に牟礼が思い出したように声をかける。
「六角さん、儀式を忘れていました」
「儀式、ですか」
 牟礼は今まで話をメモしていたメモ用紙をちぎるとくしゃくしゃに丸めて灰皿のなかにいれた。そして胸ポケットに入れてあったジッポで火をつける。血を流すようにメモ用紙が燃えていく。
「個人情報ですので、目の前で処理させていただきました」
 鼻を焦げた匂いが襲う。その匂いを嗅ぎつけてか、隣の部屋からどう見ても二十六歳にしか見えない助手が出てきた。六角は財布から五千円札を取り出して助手に渡す。すぐに助手は宛名のない領収書を六角に渡した。
「それでは、三日後に」
 そう挨拶をした牟礼は手をふってまた背もたれによりかかり、エロサイト巡回に戻る。助手に見送られて六角は事務所の外に出る。
「ありがとうございます」
 そう言って廊下で頭を丁寧にさげる助手に六角は声をかける。
「すみません、あの、失礼なことを訊ねるようですが」
「はい? 」
 助手は首をかしげる。
「二十六歳ですか」
 助手は目を見開くが、即答する。
「よく間違えられますが、十九歳です」

 六角は何も言わずに事務所をあとにして階段を降りた。そしてマンションの敷地の外に出て事務所のあるだろう部分を見上げる。窓硝子に「西瓜鯨油探偵社」と書かれた赤文字のビニルが貼ってある。
「来たときにあれ、貼ってあったかな」
 そう呟いたとき窓ガラスが開いて牟礼が顔を出して、手を振る。助手も顔を出した。六角は二人に軽く会釈をして立ち去った。窓ガラスから顔を出している、十九歳と自称する、どう見ても二十六歳にしか見えない助手の高笑いが聴こえた。幾夜を寝てもその声は拭い落とせそうにない。
[PR]
by suikageiju | 2012-07-29 22:29 | 掌編 | Trackback | Comments(0)
第十六回文学フリマin大阪まで歩く
 もし東京在住の創作文芸サークルが第十六回文学フリマin大阪(2012年4月14日)の会場である堺市産業振興センターまで歩いて向かうとしたら、どのルートを選択すべきか、何日で行けるのか、何を持って行けばいいのか、についてそれぞれ考察する。会場踏査記事は「「第十六回文学フリマin大阪」会場踏査」へ。

どのルートを選択すべきか?
 まず東海自然歩道は除外する。ルートとしてはおもしろいけれど1600㎞を超えるルートを選択したのなら、歩くことが目的となってしまう。大阪まで移動する手段として歩くことを選択したのであればそのルートはなるべく短く決めるべきだ。そうすると古来からのルートである東海道か中山道かの二択となり比較的平地の多く短い東海道を選ぶのが妥当だろう。もちろん旧東海道とその脇街道を通るのが妥当だがたとえそこから外れても国道や県道を歩けばとにかく大阪にたどり着ける。全長は約550㎞である。

何日で行けるのか?
 日数を知るには人間は一日でどのくらいの距離を歩けるのかを明らかにする必要がある。この場合の「歩ける」は一日あるいは二日といった短期間で無理して歩ける限界ではなく、一週間や一ヶ月間といったまとまった日数で長距離を歩く場合の「歩ける」である。早稲田大学に100キロハイキングというイベントがあって、もちろん鯨は参加したことないのだがこのイベントでは学生たちが仮装させられ2日間で100㎞を歩かされるという。速度は日速50㎞である。東京大阪間を東海道を通るとして約550㎞とすると実に11日間で東京から大阪まで着く計算になる。だがこれは肉体的に困難を伴うだろう。『南総里見八犬伝』の作者曲亭馬琴に『羇旅漫録』という随筆があり享和二年(1802年) 五月九日巳の刻(午前10時前後)に江戸を出立し神奈川宿まで7里(27.3㎞)、十日には神奈川宿から大磯宿まで9里21丁(37.39㎞)歩いている。十一日は大磯宿から箱根塔の澤まで8里8丁(32.07㎞)、十二日は大雨のため逗留、十三日には箱根を越えて沼津宿まで5里10丁(19.59㎞)。また十四日には沼津宿から江尻宿まで12里33丁(50.4㎞)という調子だ。本人の計算によれば東京から大阪まで550㎞を百有五日で歩き、そのうち七十五日半逗留しているから二十九日半を移動に費やした結果になる。片道十四日と半強、一日あたり37.28㎞だ。馬琴はこの旅のとき30代半ばの職業著述家で、同時代人に比して抜きんでて体力があるわけではなかったろう。どうやら人間はだいたい一日に40㎞弱は歩けるようだ。ただこれは江戸期の旅人のような軽装の場合であって、何か荷物があったときはこの限りではない。「三舎を避く」という中国春秋時代の故事成語がある。一舎は古代中国で武装した軍隊が輜重隊を連れて一日で移動できる距離とされ、1舎=30里(約12㎞)である。『孫子』軍争篇には「是故卷甲而趨、日夜不處、倍道兼行、百里而爭利、則擒三將軍、勁者先、疲者後、其法十一而至、五十里而爭利、則蹷上將軍、其法半至、三十里而爭利、則三分之二至」とある。もちろん軍隊と違いただの創作同人作家には歩いたその先に敵の部隊が待ち受けていることなんてないのだから100里(約40㎞)歩いて勢いが十分の一になっても何ら問題はない。ただ翌日もまた歩くことを考えれば50里(約20㎞)歩いて勢いが半分になるくらいでとどめておくのが無難だろう。また「カエサルの率いたローマ軍の行軍は一日平均二〇ー三〇粁位が普通」(近山訳『ガリア戦記』p29)ということだ。零細卑近事ですまないが鯨は26歳のときに大阪から京都までの約50㎞を約5㎏の荷物を背負って2日で歩いた。毎日25㎞の速度である。また一日に歩いた最長距離は同じく5㎏の荷物を背負っての島根半島東端から松江市までの約30㎞であった。いずれも歩き終わったら疲労困憊の態である。本は先行して大阪へ送るとしても着替えなど荷物があること、歩きなれないどころか文弱であること、長距離であることの疲労を考慮してやはり一日に歩ける距離は25㎞ほどと考えていいだろう。そうすると22日で東京から大阪まで歩ける計算になる。文学フリマに参加すること、今回会場が堺市内であることを考慮し予備日を1日設ければ3月22日金曜日の午前6時に東京出立、これで第十六回文学フリマin大阪開幕の拍手に間に合う。女性サークルあるいは男女混交サークルなら18日頃出立と余裕を見た方がいいかもしれない。

何を持って行けばいいのか?
 40キロリットル以内のバックパックに荷物を詰める、本やブース装飾品そしてお釣りは宅急便などで搬入するという前提で話を進めていく。それに荷物は軽ければ軽いに越したことはない。まず下着類(Tシャツ・パンツ・靴下)はそれぞれ3~4着あればいい。1枚につき6~7日着て当日会場で新しいのに履きかえる心構えだ。洗う必要があれば公園で洗えばいい。新しい下着やズボンなどは宅急便で搬入する荷物のなかに入れておいてもいいかもしれない。一泊5000円、食糧は文学に理解のある沿道の方々に恵んでもらい、水分は2リットルのペットボトルに公園の水道水を入れて賄うとして所持金は10万円あれば間に合う。可能ならば食糧を恵んでもらったお返し用にコピー本を70冊ほど用意できればいい。もちろん寝袋は必要だ。夜になって宿泊施設が見つかるとは限らないので屋根のあるバス停や道の駅の茂み、公共施設の軒下で寝袋にくるまって眠る必要がある。必要な物資は以上。他にもし余裕があれば公園の噴水で体を洗うときの石鹸・手拭い(タオル)・コンドーム・生理用品・非常食などを用意する。文庫本の一冊くらいは持っていてもいいかもしれないが二冊目はいらないだろう。『掌の小説』『物語群』やバリー・ユアグローなど50篇以上の掌短編が収録されているものをおすすめする。記録用にモレスキンなどを持って行ってもおそらく書かなくなるのでスティック状の録音用機材で音声を吹き込んでメモのかわりにしたほうがいいかもしれない。携帯端末は使えないので地図は必要、ただ道路地図程度で構わない。

 この記事を読んで徒歩で大阪へ行きたいという人はまさかいないだろうけれど、もし本気にして決意しちゃった人はくれぐれも道中気をつけてね。給与労働者であれば職を失うだろうけれど、文学のために職を失うなら本望だろう。

(註)大阪~登戸間は普通乗車券で8510円。四日間有効で途中下車もできる。2013年4月13日・14日は青春18切符を使えないだろうと思う。在来線でも最短で9時間で移動できるので前日に大阪入りする人にはお勧めだ。東京を早朝に出たのであれば浜松餃子でお昼もいいだろう。移動中はポメラなどでこんなくだらない記事を書くこともできる。

2012-09-23追加
[PR]
by suikageiju | 2012-07-16 18:05 | 大阪 | Trackback | Comments(0)
大阪観光名所
 前回の記事では、関東地方で活動するサークルの第十六回文学フリマ(2012年4月14日開催)参加支援のために会場周辺の踏査記録をまとめた。ただ大阪行の目的が文学フリマへの参加だけではなく参加はするけれど大阪観光を楽しみたいという野心を抱いている人もいるだろう。そこで一般的な観光名所ではなく、鯨が知っている範囲での文学フリマらしい趣のある大阪観光名所を紹介する。

伝仁徳天皇陵(大仙陵古墳)
 偉大なる仁徳大帝が眠る百舌鳥耳原中陵とされる世界最大の前方後円墳。しかし発掘調査が明治時代以降なされていないため実のところ誰が眠っているのか不明で、そもそも陵墓ではなく竹内街道を上がる外国使節に圧迫感を与えるための建造物ではないのかなど諸説ある。南海高野線で中百舌鳥駅から2駅の三国ケ丘駅で降りても行けるが正面の拝所までの1km強を歩かねばならない。JR阪和線百舌鳥駅が最寄駅となる。宮内庁によって陵墓のなかに入ることは禁じられている。
f0208721_22403955.jpg

味園ビル
 大阪で2011年に開催された文章系同人誌即売会「文傾~あやか~」の会場となったビル。「西の秋葉原」と謂われる日本橋からも比較的近い。むしろ動物園前駅も通る地下鉄堺筋線の日本橋駅から歩いて数分の場所にそびえている。噴水のある曲がりくねった階段をのぼって2階にはデジタルカフェスクリプトなどさまざまなバーが軒を連ねる。ちなみにデジタルカフェで女性っぽい装いの方を5人見たがよくよく見るとそのうち4人は「心と装いだけ女性」であったように思われる。このビルではそういった細かいことは気にしなくていいのだろう。毎夜各種イベントが開催される。7月15日は夜光金魚というドレスコード;和装のイベントが開催されるらしい。
f0208721_2252578.jpg

スパワールド世界の大温泉
 動物園前駅と新今宮駅近くにある24時間営業のスーパー銭湯。スポーツジムもあるし水着を持っていけばプールで泳げるので文学フリマ直前の体力作りに最適。夜は深夜料金がかかるけれど雑魚寝できる。仮眠で体力を回復できる自信のある人、学生さんはおすすめ。
f0208721_7533928.jpg

中崎町
 大阪の一大ターミナル梅田のすぐ東隣、地下鉄谷町線で一駅の中崎町駅2番出口で地上に出て、都島通りの北側にあるのが中崎町とされている。裏手には在日本大韓民国民団大阪府地方本部を控えているけれど、手前の中崎西一丁目や中崎三丁目の界隈では若くフェミニンに着飾った女性や人形であることを意識するあまり人間であることを忘れてしまった黒ずくめの女の子が日傘などを差して散策している。都島通りから篠原歯科たばこの角を入ってすぐ見つかるサクラビルの3階には関西zine界の一大拠点で数名の文学フリマ参加者も委託しているブック・ダンタリオン(2012年10月閉店予定)や人形愛というか耽美な雰囲気のある珈琲舎・書肆アラビクなどがあり、この町でなら文学フリマ前後での高揚を鎮静できるだろう。
f0208721_16464891.jpg

f0208721_16433396.jpg

空堀町(からほりまち)
 大阪市中央区谷町6丁目、空堀商店街界隈は大阪大空襲で焼かれなかった地域で、古い町屋が残っている。その一角に直木三十五記念館があり、それを含む建物はからほり複合文化施設と呼ばれていて、サンダーボルト書林(2012年7月閉店)や雑貨屋が入居している。サンダーボルト書林で会ったおしゃれ女子・春岡嬢が着ていた色彩豊かなワンピースはlogicというお店で買ったものだし、松屋町筋にはという旧宮家の屋敷を改装したからほり御屋敷再生複合ショップなどと説明される空間がある。また、空堀商店街の南にあるからほり長屋再生複合ショップは鮮やかな緑で縁どられている。動物園前駅からは堺筋線で長堀橋駅、そこから長堀鶴見緑地線乗換で松屋町駅下車と行程はややこしいが一見の価値はある。あるいは天王寺駅から地下鉄谷町線で谷町六丁目駅下車も近い。
f0208721_19585790.jpg

f0208721_19593541.jpg

f0208721_19595769.jpg

f0208721_2015817.jpg


 鯨が紹介できるのはこれくらいだ。そのほかにも大阪のアングラな観光名所はたくさんあると思うので各自大阪を訪問して案内してくれることを希望する。もちろん在阪サークルの紹介は期待できるだろう。ちなみに大阪市内観光用に地下鉄バス一日乗り放題カード「エンジョイエコカード土日祝」600円があるので一日のうちに会場移動以外で地下鉄を利用するのであれば、すなわち600円分以上移動するのであれば購入をお薦めする。
f0208721_7464759.jpg

 下に以上紹介した名所を含めた大阪観光地図を貼り付けておく。来春、ともに第十六回文学フリマを楽しめたら良い。


追補情報
[PR]
by suikageiju | 2012-07-14 23:20 | 大阪 | Trackback(2) | Comments(1)
「第十六回文学フリマin大阪」会場踏査
f0208721_128661.jpg

 昨晩代々木のカフェ・ロリータで飲んだアイリッシュ・コーヒーの残る体を携えて鯨は夜行バス・ドリーム17号から叩き出される。周りを見回すとそこは曇り空の天王寺界隈だった。数度の大阪イベント参加で宿泊した街なので記憶に残っている。東京とは違う体臭の匂う街。天王寺公園や奇抜なデザインのラヴホテル群を左手にして進むと右手前方にはJR天王寺駅舎と完成すれば300mの日本一高いビルになるという「あべのハルカス」(2013年3月竣工予定)や阿倍野再開発地区が見えてくる。真善美を判断する勇気も気力もまだない。天王寺駅前交差点を右折して跨線橋を渡り、地下鉄入口の階段を下りて地下鉄御堂筋線に乗り込む。初乗り運賃200円、天王寺~なかもず間は270円。券売機のタッチパネルの下に料金ボタンがあるので、数字が赤く点灯している黒ボタンを押さないと切符は買えない。鯨は20秒ほど券売機の前で立ち尽くした。
f0208721_1235247.jpg

 2012年6月24日夜、2013年4月14日開催の第十六回文学フリマ堺市産業振興センター(旧南大阪地域地場産業振興センター、じばしん)で開催されることが決定された。通称大阪文学フリマ、である。大阪は西瓜鯨油社設立の2009年から何度も遠征してきた西日本最大の都市圏である。だから事前に敢えて夜行バスで踏査することもないのだけれど、今回の踏査行には経緯がある。もともと7月15日に千日前味園ビル夕顔楼で開催される予定だったイベントseinのために大阪入りするつもりで、夜行バスのチケットを購入していた。だが、そのイベントが主催者体調不良により無期延期となったため大阪入りの目的を文学フリマin大阪の会場とその周辺の踏査に変更したのだ。踏査の時期として9ヶ月前は早すぎるという批判は否めない。だが大阪で初開催の同人誌即売会、しかも地方ではまだ根を深く張っているとは言えない創作文芸のイベントであるならば一年前から踏査記事が連投されても遅いくらいだ。
f0208721_1282842.jpg

 天王寺駅から地下鉄御堂筋線でだいたい17分でなかもず駅に到着する。関東から来阪する人はくれぐれも注意して欲しいのだが、大阪のエスカレーターは右がのんびりさん、左がお急ぎさんだ。改札口を出たら右手に長く進み2番出口から地上にあがる。回れ左で中百舌鳥三丁目交差点に戻り右折、不規則なマンション群を両手に見ながら100メートルほど進む。ここ中百舌鳥地区はかつて「中百舌鳥副都心」として整備計画が進められたが、事業者の業績悪化やバブル崩壊などを原因として計画が頓挫してしまう。そのため中百舌鳥は駅から堺市産業振興センターまでに駅前商店街は不在で、マンションが乱立するだけの失敗副都心となってしまった。そんなことに思いを巡らしながら中百舌鳥三丁目交差点から100mほど西に歩くと見える白い建造物が堺市産業振興センターだ。
f0208721_12114628.jpg

 横断歩道を渡り、中百舌鳥駅前公園を右手に歩きカフェ・レストランGoryoの看板を目印に右にあるのがじばしんの入り口で、文学フリマ会場は灰色の建物イベントホールとなるのだろう。中に入ると天井が高く開放感があり、舞台もある。文学フリマ閉幕後に戯曲サークルさんの創作劇を演じるイベントがあってもいいかもしれない。大交流会よりも遙かに文学的だ。
f0208721_12141234.jpg

f0208721_12143320.jpg

f0208721_12145096.jpg

 イベントホールの前にあるGoryoでは日曜も午前11時まで360円でトースト・ゆで卵・コーヒーのセットを注文でき、460円でその三品にサラダもつく。また昼には750円で日替わりランチ、180円でお稲荷さん3個、その他550~850円で丼・うどん・カレーも注文できる。
f0208721_12164225.jpg

 急に食糧の話が出てきたが、会場周辺のコンビニは南海高野線中百舌鳥駅前広場にファミリーマートがあるだけだ。南海高野線は初乗り150円、新今宮~中百舌鳥間で320円である。新今宮で投宿した人・堺東着の高速バスで来た人は南海高野線で中百舌鳥駅まで来てファミマに寄ってから会場入りしてもいいかもしれない。
 当日朝に夜行で来る人ではない前日来阪者は会場へのアクセスと繁華街へのアクセスを考慮して地下鉄御堂筋線沿線に投宿するのが妥当だ。この路線は梅田駅・なんば駅・天王寺駅など大阪の主要ターミナルを貫くように通っていて文学フリマ会場のなかもず駅が終点である。また別の最寄駅である中百舌鳥駅を通る南海高野線はなんば駅・新今宮駅も通る。総合すると投宿に最適なのは地下鉄も南海高野線も通る動物園前(新今宮)近辺となるだろう。動物園前駅から北に行けば新世界で、東にはスパワールドやジャンジャン横丁があり、駅から南に少し歩くと安い宿がある。夕飯や朝食の買い出しはスーパー玉出が庶民的でおすすめだ。
 それでは皆さんも是非来年4月以前に一度は大阪と堺を訪れてくれ。各自の大阪訪問を下地とした踏査記事で文学フリマ参加者の旅情を駆り立てて参加者を増やし第十六回文学フリマin大阪を盛り立てていこう。そして来春2013年4月14日、堺市産業振興センターで鯨と文学しよう。
f0208721_7451673.png


【追補】
[PR]
by suikageiju | 2012-07-14 12:12 | 大阪 | Trackback | Comments(0)
文学フリマ非公式ガイドブック第二版第一回編集会議
 第十四回文学フリマで好評だった文学フリマ非公式ガイドブックを第十五回文学フリマでも頒布する。今回はすべてを刷新した第二版となる予定だ。その第二版の方針を決めるべく最高責任編集者・佐藤さんに召集され7月5日20時、いつもの神田ワーカーズ倶楽部に5人の創作文芸同人作家が集った。佐藤、牟礼鯨、屋代秀樹、blank magazine 吉永といういつものメンバーに今回から新しく加わったのは銀河系最強と讃えられた雲上回廊の秋山真琴氏、そして編集会議の紅一点となるNatural makerの真乃晴花女史である。最初に前回騒乱を起こした責任をとって責任編集者の現職者全員が降格される案が出されたが即時却下され全員が残留することになった。それから第一版編集会議の流れについて佐藤氏が解説し、それを踏まえて秋山真琴氏が場を仕切る形で議題は進んでいく。その秋山氏の提案により、まずはそれぞれの編集者が自ら推薦する本について簡単にそして淡々とコメントしていくことになった。今回もなかなか手強い作品が集まったようだ。それが終わるとそれぞれ推薦された本について誰が本文を書くか、編集者コメントは誰が書くかについて互いに仕事を押しつけあった。それでも今回は編集者が増えたので一人当たりの負担は軽減される。前版の編集会議は毎回なんとなく始まり突然終わるグダグダ・ミーティングだったけれど今回は仕切役の秋山氏がいたおかげでメリハリのある編集会議になった。各自推薦作品を読み、本文を執筆して作業を進め、まだ推薦されていない作品などを待ちながら次回編集会議までの暇を潰していく。今度の編集会議は9月のCOMITIA後になりそう。
f0208721_0401891.jpg

 22時になんとなく第二版もできそうだという実感とコミティア同時開催の第十五回そして大阪開催である第十六回への淡い不安を抱えながら編集会議を終えていつもの神田駅前82ALE HOUSEで打ち上げを行った。会議開始の時間が遅かったので一杯ひっかけて帰るという体になったが、大阪文フリにこそ非公式ガイドが必要だという堅い話やボードゲームの話などで盛り上がった。次回はもっと早い時間から始めてちゃんとした打ち上げをしたい。そして今回も鯨と対談をしたいという人、絶賛募集中である。
f0208721_0442335.jpg

 
[PR]
by suikageiju | 2012-07-06 06:49 | 文学フリマ | Trackback | Comments(0)