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ジョソウダンシ!!
服飾は人間にとって記号に過ぎない。だから服飾を主とする装いには本来男装も女装もない。装いに興味がない人間にとっては伝統衣装やスカートを履いている場合を除いて男性と女装の違いなんて分からない、分かるのは色が派手かそうではないかくらいのものだ。しかし「女装」と称呼した時点でその服飾は女性特有の装いという意味になる。そして「女装」に「男子」を組み合わせて女装男子としたら服飾倒錯である。このように服飾倒錯は服飾自体の形によってではなく言語によって規定される。そして、この本は小説本であり表現はすべて言語によって為される。収録作二編「カヲルコ」「ミントブルーの回転」に出てくる二人、カヲルコとかおるは「ギンガムチェックのワンピース」「苺柄のロリータ服」「ピンク色の裾が膨らんだワンピースに、白いレースがあしらわれた襟の、ロリータ服」「水色のワンピース」「タンクトップタイプのワンピース一枚」「オレンジが基調」の浴衣を着ている。それぞれの衣装がどんなものかなんとなく分かるけれど明瞭ではない。けれどそれらが女装であることは題名から推測できる、と思って表紙を見返した読者を惑わすように題名は片仮名で「ジョソウダンシ!!」である。「ジョ」に「女」の意味はなく、「ダンシ」に「男子」の痕跡はない。カヲルコとかおるがどんな衣装を身にまとっているかは僅かな地の文と他の登場人物の反応からうかがうことしかできない。「ジョソウ」は全裸かもしれない。彼らは全裸で歌い全裸で花火を見ている。なんとなくエロス。(「ジョソウダンシ!!」没原稿)
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by suikageiju | 2012-10-13 08:00 | 感想 | Trackback | Comments(0)
文学フリマ非公式ガイドブック第二版第二回編集会議
コミュニケーション能力や血筋なんて役立たず、文章能力を学歴や賞歴は担保しない、ただ文章が上手いかストーリイが面白いかで評価される、日本国で唯一の文章業界「創作文芸」。だが誰もがその事実に目を瞑ってただ「なんでか知らないけど売れないね」と自虐的で平和な日々を送ってきた。停滞がもたらした平穏に甘んじていた箱状列島に突如襲来したのが文芸怪盗「佐藤」、文学海獣「鯨」、戯曲妖怪「屋代」の三羽烏である。この3人は今年6月、第十四回文学フリマにて創作文芸界に『文学フリマ非公式ガイドブック』第一版を非情にも叩きつけ、作家同士の気遣いや衒学趣味や文豪虎の威借りや色物主題や文学賞選考序列で騙し欺きやってきた創作文芸島の虚飾を暴いた。お山の大将たちには恨まれたけれど何ら怯むことはない。第十五回文学フリマで第二版を出すための第二回編集会議は、第一版を委託した古書ビビビさんのある下北沢は駅西口近くにある区民集会所で10月8日に開催された。新宿、神田と今まで編集会議が開催された山手線内側から外れたのは単にここに縁があり、そして貸会議室の料金が安かったからだ。ちなみに古書ビビビさんにある第一版は残り6部ほどになっているという。
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14時にぱらぱらと集まったのは例の三羽烏とblank magazineのお2人、銀河系最強との呼び声ももう飽きただろう秋山真琴氏の5人。そして最後に真乃晴花さんがやって来てから延々2時間、隣室から流れてくる代野英人プロデュースさんたちの「偏屈王」の読み合わせをBGMに、応募された第十五回文学フリマ新刊のなかから新刊枠にどの本を入れるか、そしてその推薦文を誰が書くか、第二版ガイドブックは何頁にまでならできるか、まだ決まっていない編集コメントは誰が書くのか、掲載順はどのようにするのか、そもそも第二版は何部刷るのか、第十五回文学フリマ開幕前までの宣伝方法、当日の動きや頒布方法、次回大阪文学フリマ以降の編集委員会のありかたについて16時頃まで話し合った。そして第十六回文学フリマin大阪合わせで第三版をどんな形であっても上梓することも決定された。
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編集会議終了後は途中退席した野条さんを除いたメンバーで西口踏切を渡り小田急線を跨いで南口商店街を茶沢通りまで下りて古書ビビビを表敬訪問し、そこで離脱した吉永さんを除いた5人でスズナリ近くにある四文屋なん八で毎回恒例となった打ち上げをする。そこでW伊藤問題などを持ち出しながら、評論のあるべき姿や非公式ガイドブックが文学フリマに対してどんな働きかけをできるかについて秋山仕切りで話した。また、第十五回文学フリマ後の非公式ガイドブック打ち上げは雲上回廊打ち上げに混ざって行われることも決定された。そして非公式ガイドブック第一版に唯一批判的なコメントを寄せてくれたパセリさんが第十五回文学フリマでは書評集を出すことも話題になった。

このように文芸同人誌を書評すること自体に躊躇いのあった頃から事情は変わり、書評を「上から目線」だとか「自分達のプレゼンスを誇りたい」だとか言って忌避する風潮はなくなりつつあるようだ。

これを文学フリマ非公式ガイドブックだけの功績だとは思わないし、思いたくない。井伏氏をはじめ先駆者の屍があってこその今だと思うし、さまざまな批判を非公式ガイドブックに注いでくれた方がその批判しているだけの状態から立ち直り自ら意志を持って独自に企画を立ち上げてくれたからこそ文学フリマの創作文芸分野でこのような生産的な動きが出てきた。願わくばさらに文芸同人誌書評サークルが林立し、そのなかで本当に「全てのサークルの本を読んだ上での書評本」を出してくれた人がいたら、文学フリマ非公式ガイドブック編集委員会はその人の前に跪くだろう。早く誰かそんな稀有な人にこの編集委員会を継承したい。
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by suikageiju | 2012-10-08 22:10 | 文学フリマ | Trackback | Comments(0)