私が物語を綴ることに興味を持ったのは、高校1年生のときにヘンリー・ダーガー(もしくはダージャー)を知って以降のことだ。砧図書館でこの本を借りて、雨上がりの世田谷の街を散歩しているときに、自分も物語を綴ろう、とふと思ったのだ。あれからもう8年もたつ。
ヘンリー・ダーガーは誰かに読ませたいとか、誰かに買ってほしいとか、そういうことではなく、自分の慰めのために物語を綴った。それはタイプライターで清書された1万5145頁に及ぶ物語と300枚の平面画によって構築された『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』(The Story of the Vivian Girls, in What is Known as the Realms of the Unreal, of the Glandeco-Angelinnian War Storm, Caused by the Child Slave Rebellion)である。