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サークル閉鎖。
by 鯨
一文改行主義者と文塊主義者
 ネット小説も商業出版の小説も文芸同人も、一文毎に改行するものがある。段落毎ではない。句点から句点までの一文毎に改行していくのである。まるで一文が一段落であるかのように、あたかも一文が詩の一行であるかのごとく。
 鯨は詩を読めない。いや、詩を謳わずに読もうとするので読めないのだ。それは詩が一行毎に改行されていて、そこで眼球を度々急激に運動させなければならず読むのに疲れてしまうからだ。ましてや小説は長い。一文一文改行されたら、文を追うのに疲れるばかりで読むことに集中できない。
 そして一文毎に改行するのでたった一文でリズムが切れてしまう。数文で一段落を構成する文塊主義者はその一段落の間でリズムを持続させるけれど、一文改行主義者は一文毎にリズムをぶつ切りにしてしまう。小説における改行は詩の改行と同じではない。世代間の断絶のようなリズムの断絶が度々起こる。
 また一文改行主義者であってもその一文に意味を拡散させるような重厚な構造があれば良いのだけれど、惜しむらくは過半の一文改行小説は一文が薄っぺらな上に一文毎に意味が途切れている。つまり一文で、女子小学生の投身自殺が起こるようなものだ。鯨は悲しくて、とても読んでいられない。
 一文改行主義者は数千年の風雪に堪えうるラテン語の銘句のような一文を産み出す力を鍛え、詩の連綿たるリズムを学び、新しい一文改行界の境地を拓いて欲しい。
by suikageiju | 2010-04-02 10:11 | 雑記
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