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サークル閉鎖。
by 鯨
今後の文傾への期待
 2011年7月30日、文章オンリー同人誌即売会「文傾~あやか~」が開催された。このイベントはこの路線のままでいくのであれば「西の文学フリマ」とはなりえない。ゆえに第二回を開催して欲しいと思っているし、年一回でもいいので続けて欲しいと考えている。
 この文傾について開催以前から指摘されていた問題は、同人誌即売会の完成形ともいえるコミケやコミティアのような要綱や集客行為がほとんどなかったことだ。責任の所在が不明確で、ブースがどんな形で与えられるか告示されず、コンプライアンスの提示がなかった。そして、開催告示の記事以外に不特定の一般参加者を募るような活動が乏しかった。ではこれらは本当に文傾に必要だったのか?
 飛鷹隼さんとの会話や彼のtwitterでのつぶやきを見て学んだことは、大阪では過去に学生さんなどが杜撰な同人誌即売会運営をして、学生であることを理由に責任放棄し、その会場で同人誌即売会を開催できなくなったりしたことがあったということ。もしこの文傾で何か問題が発生した場合、杜撰な運営によって事態を収拾できなければ他の関西での同人誌即売会の開催に影響が出る怖れがあるとのこと等である。確かに文傾の運営は杜撰だった。開催告示以降直前まで情報が増えなかったので、柏木さんにメールしたりして情報を得る必要があった。そのメールのやりとりではじめて各サークルに机と椅子が与えられることを知ったくらいだった。また、前日の夜になるまで参加サークル数がどのくらいになるかわからなかったし、事前にサークル参加証も送付されてこなかったので偽西瓜鯨油社がなりすましでブースを設営してしまう可能性もあった。従来の同人誌即売会が成立するのに必要な条件がほとんど揃っていなかった。なので、文傾がはじまるまで鯨は「どんなことになってしまうんだろう」という不安とワクワク感があった。それは他のサークルの方々も同じだったと思う。ただ不安とワクワク感の配合比率は各人の思考方法や幼年期からの習慣に因っていただろう。鯨は1:9だった。
 また柏木さんやラガーマンさんなどと話して主催者側の意見を聞くことができた。それは文傾をなるべく従来の同人誌即売会からなるべく遠ざけようとしていること。素人がやっているという感じを出すこと。そして、とりあえずこの文傾で大阪にかかわりのある文藝同人が顔合わせしてくれればいいというものだった。もちろんそれらの意見がただの言葉だけであったのならそれまでだったろう。だが主催者には文藝同人を尊重し彼らと積極的に関わろうとする意思と行動があった。彼らの意見を聞いて「従来の同人誌即売会」のありようを頭の片隅のどこかで文傾に期待していた自分が恥ずかしくなった。そして、それならば「従来の同人誌即売会」に必要なものが文傾に欠けている理由も理解できたし、同人誌即売会と謳ったのも「従来の同人誌即売会」に参加しているサークルを対象にしているのだから頷ける。そして味園ビル、その中のなんば紅鶴という会場はこのイベントに相応しい会場だった。
 コミケやコミティア、そして文学フリマのような運営のしっかりしている同人誌即売会は必要である。しかし、鯨はこれらに満足しているわけではない。学校じゃないのに何お行儀良くしているんだという不満がある。今回、この文傾で、そうではない同人誌即売会の雛形をみたような気がする。もし今後「従来の同人誌即売会」の類似品としての文章オンリー同人誌即売会「文傾~あやか~」が大阪でできていったとしたら、それは参加する価値のないものになるだろう。どうか「従来の同人誌即売会」の勢力を受け入れたとしても乗っ取られないようにして欲しい。そして今のまま拡大していってほしい。文傾にはサークルリストもいらないし要綱もいらない。サークル参加証でさえいらない。文傾に必要なものはただひとつ、1ダースの筆力ある文藝同人作家だけだ。集客力は彼らについてやって来る。

2011/7/31 高槻市ワークホテル6階の一室にて
by suikageiju | 2011-07-31 22:16 | 大阪
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