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サークル閉鎖。
by 鯨
迷宮図書
『迷宮図書』、佐藤、佐藤
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 エガ・ハマンは苛々させる。それが迷宮の意志とは知らされずに。
 この本のタクリーズというか警告文に「本を読み始める前には、スニーカーを履いて、ストレッチをすること」と書かれていたので、ちゃんと前日に原付を飛ばして東京靴流通センターで銀色のスニーカーを買い、仏壇にお供えしてから文学フリマへ出かけた。それでブース「佐藤」でこの本を手にとりながら「いやぁ、これ買うためにちゃんとスニーカー買いましたよ」と言ったら佐藤さん
「え?」
 という反応だった。「なに言っているのこの人」、佐藤さんはそう言いたげな顔をしていた。いや、ちょっと待ってよと。
「スニーカーを履けって書いてあったじゃないですか」
「あ、そんなことも」
 こんな調子である。これではいくら話しても埒があかぬと思い、代金を払って「もう、騙されたよ」と捨て台詞を吐いてさっさとブースを後にした。数歩歩いて、ハタと気付いた。そうだ、もう鯨は佐藤さんの『迷宮図書』の世界にむりやりねじこまれていたのだ、と。しかしこの発想はおかしい。なぜなら文学フリマの会場で『迷宮図書』の世界にむりやりねじこまれたと気付くためには11月5日時点のすでに『迷宮図書』を読了した鯨の記憶と11月3日文学フリマの会場でブース「佐藤」を後にした鯨の記憶とが共有されていなければならないからだ。この感想記事を書いている牟礼鯨は間違いなく鯨だ。11月3日から連続しているひとつの鯨だ。では11月3日、文学フリマの会場にいた牟礼鯨とはいったい誰だったのだろう。
by suikageiju | 2011-11-05 09:31 | 感想
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