福岡ポエイチ報告
都市は詩を必要としています。でも詩はどこにもありません。書店にも図書館にも夕焼け空を飛ぶ鴎にもありません。だから私はここに来ました。「こことは?」福岡ポエイチです。(某参加者)
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 第一回福岡ポエイチが6月10日17時4分くらいに終わった。地方都市の文学系同人誌即売会、小スペースでの第一回開催にしては賑わっていたと思う。各ブースで立読者が1人いる状態を満員(すなわち24人満員説)とするならば入場率80%超になったのがトークイベント時を含め2回くらいあった。あと狭い会場で24ブースしかないのに数時間滞在されている方も何人かいらっしゃった。見本誌閲覧スペースとなっていた和室でゆったり読書でもされていたのだろう、あるいは隣の棟のベーグル屋で腹ごしらえか。行政をまきこんで集客、和室を見本誌閲覧スペースとした会場設計。そして無事にこのイベントを完結させた実行委員会と冷泉荘事務局の皆様、出展者と参加者の皆様には形だけの感謝を捧げる。鯨の心からの気持ちを知りたい人は個別に、どうぞ。手段はいくらでもある。この言葉はすべての同人誌即売会で言えることだ。手段はいくらでもある。だがその手段のうちのどれか一つを使うか使わないかはその参加者の意志に委ねられているのだと。
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どの手段も使わず一歩も踏み出さない人間は何も失わない。そのかわりに何も得ない。

 鯨は会終了後の交流会には参加せず、20時正刻福岡発のJAL0332便で帰京、そのまま帰宅した。文学フリマの交流会も参加しないのだから、たとえ家が福岡県内でも鯨は参加しなかっただろう。誰も嫌っているわけではない、ただ優しさと気遣いとの応酬に身体を保つことができないだけだ。何故?の森井さんも交流会にはやはり参加しなかった。また森井さんは詩人さんのトークイベント時でも「全く興味ないから、一服継続中」とtweetされていた。「文学フリマの文学性の無さ」から変わっていない森井さんの生き様に感銘を受ける。是非文学フリマ嫌われ者クラスタに名を連ねてもらいたいくらいだ。でも、会終了後に弊社ブースに「それでは」と挨拶に来られた森井さんの背後には、首まわりの涼しげな絶世の美少女・小柳日向さんがちょこっちょこ随いていた。何故?
 東京の11時にも似た福岡12時に第一回福岡ポエイチは開幕した。福岡ポエム市を略して「福岡ポエイチ」と称していることもあってやはり地元の詩や短歌のサークルさんが賑わっていたと思う。参加者の方々の目も「詩を! 詩を! 詩を!」求めていた。人だかりができていたのは福岡ポエトリーさんやかばんさん、くるぱさん、平地智さん、メインストリームさん、潮流さんなどだ。それと小説系では北九州書房さん、オリ神さん、浦橋天地堂さん、高森純一郎さんなど九州牧たちが賑わいを見せていた。東京から飛行機で来た鯨とお隣のTrue MemoryのTAKAさんの「東京区画」はトイレへの通路に置かれたため会場内周回動線から僅かに外れた衛星軌道上で暇そうに互いにちょっかいを出し合ってふざけていた。ちなみに今回、詩人たちがひねり出した糞尿を受け止め続けていた便器はこちらとなっている。
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わかる。君が自分の作品と才能とそして自分の可能性にしか興味がないのはわかる。そして僕は誰が偽物で、誰が本物かは分かる。だから君は充分に打ちのめされたほうがいい。そのときには君を慰めてくれる女性が必要だろう。もしかしたら1ダースでは足りないかもしれない。でも、それを経て君は本物になる。

 和室の見本誌閲覧スペースで本を読んでいただき「グッと来た」と買ってくれたお姉さんや佐藤こおりさん、前夜に森井さんや山本桜子さんと飲んだBAR ラジカルのマスター、そして〈福岡ポエイチに咲いた可憐な一輪の花〉小柳日向さんなど7名もの方に弊社発行物を買っていただいた。感謝はしない、ただ眠れない夜を彼らに手渡しただけだ。ひとつ心残りがあって、それは黒と白の細かい市松模様のためにほとんど灰色に見えるワンピースを着た眼鏡の女性である。彼女は弊社の本を立ち読みして購入こそしなかったが、黒髪に数本の白髪やうつろな黒目がちの目など澤田彩香のモデルにぴったりだったので無理矢理にでも彼女の鞄に本をねじこんでおけば良かった、と後悔している。「この本はきっとあなたを救います」、もちろん本は誰も救いはしないし、鯨は誰も救えないだろう。ただあの女性の存在を肯定できたのはこの世界で鯨だけだったのかもしれない。根拠はない。

誰かの本を買うという行為はその誰かの才能を認めるものではなく、君自身の知性を認めるものだ。
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 幼児多数来場、14時からの詩人によるトークイベントについて言及すれば松本秀文さんの朗読は体温を自然と上昇させる力を秘めていた。それは朗読というよりもほとんど叫びだった。ちなみに何故?の小柳日向さんはトークイベント中、鼻がムズムズしていてかみたいのをこらえていたらしい。最高の売り子さんじゃないか。
物語作家は世界図書館の秩序に従い、物語と称されたテキストを出力する。単純労働者である物語作家の個性は無意味であり、作品に付記される著者名は責任の所在を明らかにするのみ。もしある種のテキストが罪とされる社会を生きたのならそれを出力した物語作家は処罰されるべきだ。その処罰は物語作家の個性によるものではなく、世界図書館の意志によるものと社では解釈される。西瓜鯨油社宣言

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 リノベーションミュージアム冷泉荘は思った通り文学系同人誌即売会として文句ない趣のある佇まいで川端商店街の横、人通りの少ない路地に聳えていた。初めて訪れる方は冷泉公園側から駐車場を対角線に抜けて入るのがわかりやすいだろう。冷泉荘内部で何より興味をひいたのは卓球室隅に置いてあった、どこから拾ってきたのか大量の活字をおさめた活字棚である。もちろん欠けている文字もあったけれど、いにしえの文選工の仕事ぶりに思いを馳せるには十分な迫力だった。是非訪れた方は見て欲しい。
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 冷泉荘の立地条件は東京流通センターやビッグサイトやPiOよりもアクセス面で良いとは思う。ハコの小ささも会場規模にぴったりだった。第二回、第三回と回数を重ねて客層の幅を韻文から散文へと徐々に広げられたら、九州の文学系同人誌即売会として成功したイベントになると思う。そのこときのハコが冷泉荘かどうかは分からないが。その「成功」のためには望月代表の文学フリマ参加サークルに対するスタンスを福岡ポエイチに持ち込むことが必須となるだろう。トイレへの通路配置でもいいので鯨は第二回にも参加したい。そして前夜には西新のBAR ラジカルに飲みに行きたい。

戦利品一覧
 最後に福岡ポエイチでの戦利品一覧を並べる。
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・『最後のトルタ』、トルタ
 夏野雨さんからもらった。隣のTAKAさんが読んで驚嘆の声をあげていた。鯨も驚嘆の声をあげた。

・『バイカル湖』、只松靖浩
 詩集、週末文房具屋さん。鯨もタイプライターで値札をつくりたい。

・『雪白書』、TAKA、True Memory
 東京在住だけれど福岡のイベントによく参加されている放浪同人作家。恋愛小説を専門とされている。

・『創星』vol.3, vol.5、星屑書房
 全号無料の迫力。一路真実さんは東京在住とのこと。

・『何故? 別冊ー九州創作集ー』、何故?
 小柳日向買い。

・『雪のハンカチー15幕の悲劇ー』トリスタン・ツァラ、山本桜子
 金曜日からダダイズムに興味を持ってしまっていた。
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by suikageiju | 2012-06-11 00:28 | 福岡 | Trackback | Comments(0)
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