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サークル閉鎖。
by 鯨
文芸同人誌の再読性
 佐藤こおりさん(現・佐藤こおり.txtさん)が電子書籍の価格について言及する過程で弊社同人誌(たぶん『物語群』)に言及していた。


お礼とかは期待していないと思うので特にそういうことは書かないけれど「NON MULTA SED MULTUM」を社是として掲げている西瓜鯨油社としては「読んだ上でこの人の文章なら何度でも読める確信」を抱いてくれたのは嬉しい。けれど、ここで思うのはこの再読性(re-readability)は本や物語そのものではなく、それを読んだ人に起因するのかもしれないということ。もちろん物語が読んだ人に再読を促すことはあるだろう。でも、それ以上に本や物語を読んだ人自身が自らに再読を促すような気がする。なぜなら本や物語はただの文章の連続に過ぎず、そのなかから再読すべき価値のある言葉を見いだすのは読んだ人自身だからだ。
 西瓜鯨油社の本は西瓜鯨油社宣言にあるように「無価値な個人の表現手段に貶められた物語」とは対極に位置させるために製作された。もちろん司書による偏りは否定し得ないけれど、極力個人の表現からは遠ざかるように、なるべく没個性に近づくように書かれている。そのように個人の思想や哲学とはより遠ざけられた座標に存在する誰にも属さない物語にこそ再読性が宿るという確信が鯨にはある。その確信星の下、砂漠に埋もれ誰にも属さず、そして誰にとっても自分の物語たり得る物語「公共の女」に西瓜鯨油社以外でも会いたい、文学フリマで。
by suikageiju | 2012-08-27 21:18 | 雑記
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