話は簡単である。タクシー運転手と三人の男、つまり四人の男が砂浜ビーチへタクシーで行って砂の城を築くのである。
きっとこの本をおしまいまで読んだことのある人は上の一文を読んだだけで「ちょっとトイレ」「ベランダいってくる」「煙草買ってくるね」などと誤魔化してその場をあとにして、誰も見ていないところでひとり男泣きするのだろう。「ねえ、どうしたの」なんて追いかけてきた女に泣いている現場を見られてしまったらもう隠しようがない。「なんでもない」なんて言い繕っても何かあったことはその頬を伝う涙の筋を見れば明白だ。
三十八にもなって処女って呼ぶのもね、身内としちゃ気持ち悪いんでね、童貞だって呼ぶんですよ。
いや僕はね、そういう固定観念を覆していこうと思っているんです。タクシー運転手ってこうだろうなーっていうね。
気の利いた言葉に気の抜けたコーク。「タクシーならきませんよ」おかしい世界へようこそ。