第2回福岡ポエイチ報告
 福岡市中央区天神にある通称「福岡赤煉瓦文化館」は旧日本生命九州支店社屋であり現在は福岡文学館として使われ、一階の常設展で花田清輝や中野秀人など福岡の文学史を来訪者に紹介している。その玄関には「文学する椅子」と題された木彫りが置かれ、背もたれ部には二羽の梟が彫られている。9日朝、鯨はその梟の彫刻に指で触れた。福岡ポエイチのマスコットも二羽の梟であることから
「ポエイチのマスコットは福岡文学館にある文学する椅子の梟に由来するのですか」
 と9日夕の交流会で福岡ポエイチ実行委員会の夏野雨さんに尋ねると
「え、そうなんですか?」
 という返答だった。
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 6月8日と9日に冷泉荘で開催された第2回福岡ポエイチに西瓜鯨油社は2日連続で参加した。8日9時に飛行機で福岡入りし、9日20時に離福するまで35時間福岡に滞在し、そのうち12時間と2時間を福岡ポエイチに捧げた。

6月8日
 中洲ぜんざいで氷を食べてから11時半過ぎに会場入りする。やがて正午12時に第2回の福岡ポエイチは開場した。前回と同じ冷泉荘での開催で、一部屋分だけ会場が広くなってサークル数も増えた。畳敷きの閲覧室に置かれた見本誌の冊数も増えて、今回は作者に向けて一言コメントを届けられる仕組みも新たに付け加えられた。工夫とその結果が目に見えて分かるイベントだ。
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 受付を屋外に置いたのは正解だったと思う。抜け道でぶらりと歩いてきた人が立ち寄れるからだ。また受付の隣にはぱん屋のぺったんさんが出店していた。食べ物で釣ろうとする姿勢も好ましい。前回と同じ和室に設けられた閲覧室は畳が敷かれて脚を伸ばせられる他、ソファーにも腰掛けられるので、鯨はポエイチ開催時間の大半をそこで過ごした。設計上の意図なのか単に離れているからなのかは分からぬが、閲覧室にいれば会場の喧騒も隣の教室から流れる英文復唱のように聴こえる。そこは福岡ポエイチで一番好きな場所、冷泉公園の次に。
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 14時からトルタが突如として30分間のパフォーマンス状態に入っていた。前回のイベント内パフォーマンス時のようなほぼ満員状態ではなかったけれど、本を勢いよく閉じたり他人の朗読に朗読を被せたりと起伏があり見世物として楽しめた。1日目だけでは前回よりお客さんの数は少なかったように思えたが二日に分散したと考えれば寧ろ増えたのかも知れない。
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 17時の閉会ののちにホテルにチェックインして仮眠をとった。1日目の交流会には参加しなかった。19時にホテルを出て楽天地通りにある居酒屋でモツ鍋をつつきながら48グループ総選挙を8位発表まで観る。それから西新駅に移動し、地下のベンチで久保田輝、高村暦と合流して歩いてBARラジカルへ向かった。カウンターに座り、ライダーのあんちゃんや西南学院大学読書会『十二会』の学生さんと広田弘毅やガルシア・マルケスの話題で盛り上がる。その後、ポエイチの交流会に参加したため遅れてやって来た森井御大と終電近くまで将棋席で飲んで語らった。森井御大の商業誌進出と久保田氏の見えにくい活動について、そして文学フリマの中身ではなく場に期待することについて。
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6月9日
 小雨の降る朝、中洲の川沿いの道を歩いているとスーパーメイト製のショッピングカートが衣類ハンガーのように打ち捨てられているのを見つけて拾った。本の入った段ボールを載せて、カートを押して中洲の街中を歩くとなかなか快適である。11時に会場入りする。帰りに他のサークルも荷物搬出で使うだろうと思い冷泉荘の前のカート置き場にカートを停めておいた。
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 2日目は降雨だったので受付は屋内に設けられた。前日とのこのような変調が鯨の肉体に心地よい波動を与える。ブースは売り子の高村暦女史にほとんど任せて、鯨は近くの博多長浜ラーメン風びで替え玉したり、四階の踊り場にある喫煙所から濡れそぼつ冷泉地区を眺めたりした。
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 2日目から無計画書房さんや大阪文庫さんや何故?さんなど文芸サークルが新しく出展している。中嶋葵さんのインタラクティブブックが面白くて2日続けて挑戦してしまった。そうは言っても福岡ポエイチは詩のイベントである。文芸サークルがコミティアで「マンガじゃないんですね」と訊かれるように、福岡ポエイチで文芸サークルは「詩じゃないんですね」と訊かれる。
ぼくは、言葉で敷き詰められている頁よりも余白の広がっている頁のほうが思いを感じるんです。そして伝わるんです。(とある休憩者)

 14時からはヤリタミサコさんのパフォーマンスがあった。詩人が朗読する際に詩句を、気違いじみたというか常軌を逸したように発音することがあって、もしくは非日常的なイントネーションで演奏することがあって、だからこそ詩巫、詩は霊的なものと繋がる手段なのかと夢想した、言葉で、手つきで。
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 また、福岡ポエトリー界隈の男性と反人間主義について話した。反人間主義の呑気なまでに人間的なところ、博愛精神に満ちた人間主義の反人間的なところについて。
 17時に閉会してから片付けたり搬出したりして45分頃に冷泉荘前に集合して移動、18時から川端商店街のまさかどで交流会が催された。隣のテーブルでは、6~7月に博多の随所ですれちがう法被姿の男たちが集まって飲んでいた。こんな光景は博多祇園山笠の本番まで見ることができるという。20時に東京へ向けて離陸する飛行機に乗らねばならない鯨はモツ鍋と串とキャベツを掻き込んで18時45分には離席した。福岡空港への移動中、冷泉荘の前にショッピングカートを置き忘れたこと、そして森井聖大ではない方の小柳日向女史に会えなかったことを悔いた。
 来年開催の福岡ポエイチにもまた参加したい。2日ではなく1日だけで。そして2014年は彼岸花が咲くころにでも大阪へ行きたい。
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by suikageiju | 2013-06-10 19:10 | 福岡 | Trackback | Comments(0)
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