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サークル閉鎖。
by 鯨
あいちトリエンナーレ以外
 去年は原付で東京大阪間を往復した。今年も9月の連休を利用して原付で遠出しようと考えていた。でも行き先はなかなか決まらない。或る夕刻、Twitterを眺めているとこんなtweetを見つけた。

 即座に原付旅行計画を白紙に戻し、近所のニッポンレンタカーで20日夜から23日朝までコンパクトカーを予約した。高速料金が割引されるとは云え60時間分のレンタル料は高くついた。でも、9月9日にも名古屋をおとなって秋山真琴氏に会い、それを機に名古屋で文芸座標の久保田輝氏と会うという口約束をしていたことが誘い水となった。その後、出発間際になって久保田輝と高村暦最高責任編集者が既に名古屋会談の手筈を整えていたことを知り、鯨もそれに顔を出すことになった。東京・名古屋間はtweetのように深夜に移動する。愛知県ではあいちトリエンナーレが開催されていたけれど鯨はそれ以外を観てまわった。

愛岐トンネル群
 愛岐トンネル群とは、JR中央本線の定光寺駅(春日井市玉野町)近くにある、1966年に廃線となった旧国鉄中央本線の鉄道トンネル跡。そこであいちトリエンナーレに併せて「荒野ノヒカリ」展という催しが行われていた。つまりこれはあいちトリエンナーレではない。
 トンネル群のあるおおよその場所は定光寺という尾張徳川家の菩提寺周辺であり、東海自然歩道も通っていて、名古屋の奥座敷とも呼べる大自然のただ中にある。
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 下は庄内川沿いにそびえる廃墟となったホテル「千歳樓」。窓ガラスが割れている。自動車で訪問する人は城嶺橋東交差点南の駐車場に停めて、城嶺橋を渡る。
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 JR中央本線の定光寺駅。本当はここから行った方が歩く距離が短い。
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 鉄道トンネルの遺構が数基のこり、芸術作品の展示やパフォーマンスが行われている。1961年当時の時刻表にあわせてトンネル構内に機関車の走行音が流れるsoftpadの演出が面白かった。
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豊田市美術館
 美術館の建物こそが芸術作品とも云える、トヨタの町の美術館。そこで開催されていたのが「反重力」展である。「特別連携:あいちトリエンナーレ実行委員会」なのでこれもあいちトリエンナーレではない。
加速度的に非物質化していく現在の社会を反映し、私たちの身体や生活を規定してきた枠から逃れるものとして、ここに「反重力」という言葉を掲げます。
本展では、身体から解放されるような軽やかな空間性を感じ、世界を巨視的な視点で眺めて地上の価値観から離れ、宇宙的な視野を持つことを目指します。(説明板から一部抜粋

 スピーカーをたくさん吊して楽曲を流すやくしまるえつこの展示やジルヴィナス・ケンピナスの「Beyond the Fans」が気に入った。来場者に「反重力」をイメージさせる展示なので作品自体はちゃちい(「繊細なので触らないでください」と言われる)。展示の目的から考えると、芸術作品とは美術館に置かれたり架けられたりするモノの方じゃなくて、チケット代を払って来場している我々自体なのかもしれない。
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ヴィレッジ・ヴァンガード本店(第1号店)
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 あいちトリエンナーレと関係がない、天白区植田西にある、あのV.V.の1号店。名古屋は「文化不毛の地」と呼ばれるらしい。確かに名のある観光名所は少ない。街並みを見ても大阪や京都のようなワクワク感はなくて、札幌のような寂しさを得る。この個人的感情はテレビ塔と碁盤目状の街並みのせいだろう、なんだか栄と薄野が重なって見える。ただヴィレッジ・ヴァンガードは名古屋が創業の地で、ゲオも名古屋が創業の地であるという。どうやら文化を創造するよりも文化を加工して発信する方が、名古屋は得意らしい。中世のころから名古屋は左にあるものにちょっと手を加えてから右に回して利益を得る商人たちの町なのだ。ヴィレヴァンは1号店でもヴィレヴァンだった。

覚王山アパート
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 福岡ポエイチの会場となった冷泉荘のように古い木造アパートをリノベーションした施設。入っている店舗は頻繁に新陳代謝する。ネット情報では1階に古本カフェ・ソボクロがあるのだと思ったらそこには古本カフェ・甘露(アムリタ)があった。アパートの中身は手芸屋や工作屋の市場のように各店舗あるいは各クリエーターがひしめきあう。あいちトリエンナーレは関係ない。

伏見ミリオン座
 大学のゼミ合宿に参加し、現地解散を迎えた高村暦女史を愛知芸術文化センターで拾う。どうやら彼女はあいちトリエンナーレそのものをゼミの同級生とともに見て廻っていたらしい。最高責任編集者を助手席に乗せ、広小路通りを東に移動し久保田輝氏を覚王山で拾う。久保田氏がおごってくれると言うので、鯨は覚王山近辺のコインパーキングに車を停めてどこか文化的な食堂に入って食べようと思っていた。けれど高村女史は「鮓が食べたい」と言う。どうやら他のゼミ生は解散後、教授と鮓を食べに行ったらしい。でも高村女史は久保田と合流したため鮓を食べ損ねた。だから「鮓が食べたい」とのこと。合理的であるということはこんなにも恐ろしいのか。鮓をご馳走になった後、3人は鮓屋の真向かいにあった伏見ミリオン座内の古本カフェに入る。久保田氏が、買ったばかりの録音機を取り出した。


by suikageiju | 2013-09-23 17:22 | 雑記
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