なぜ文芸スタンプラリーなのか
 第十七回文学フリマにて、隣の非公式ガイドブックブースで高村暦女史が「高村暦ブックラリー」を開催していた。女史関連の本をすべて購入した人に景品をプレゼントするという企画で、そこから派生して秋山真琴ブックラリーという企画もあったという。傍目で「完走するまでやる奇特な人が果たしているのだろうか」と思っていたら、なんと1名完走した方がいたらしく驚愕した。でも上記のような同一作家のブックラリーは理解できる。その作家に興味があってその本を買おうとするのは当然のことで、そのブックラリーが便利な一覧表の機能を果たすからだ。でも複数の作家・サークル、それも不特定多数から企画参加者を応募したスタンプラリーは、なぜあえて企画されるのか鯨は理解できない。ただその企画に参加することは理解できる。なんだか企画参加しないとバスに乗り損ねた気がするからだ。合衆国南部の説教師は「汽車に乗り遅れるな」と教えを説く。そんな感じだ。いかなる企画にも鯨は反対をしないのであらゆる文芸スタンプラリーに反対をするわけではない。ただそのバスや汽車に「なぜ」「どうして」を突き立てたい。卒塔婆のように。

 そもそも鯨はスタンプラリーにまったく興味が湧かない。鯨はスタンプ帳を手に入れることはあってもスタンプを完走させたことがないし、する気もない。路線で、観光地で、美術館で、よくそういったスタンプラリーの企画を見かけるが集めたことは勿論、愉しんだことはないし、愉しもうと思ったこともない。実は西瓜鯨油社も第十一回文学フリマで本めぐりスタンプラリーに参加させていただいた。でも自分でスタンプを集めることはなかった。そういう懶だからスタンプラリー企画を理解できないのかもしれない。スタンプラリーはマメで執念深い気質の人がやるものだ。

 スタンプラリーにより企画参加作家・サークル側はイベントを盛り上げて賑やかし名前を売ることはできるだろう。ただ、たとえ名前を売っても一般参加者や企画に参加していない作家・サークルからは
「スタンプラリーに参加していない作家・サークルの方がなんか面白そう(=参加している作家・サークルは烏合の衆でつまらなそう)」
 と見られることを覚悟しなければならない。そもそもスタンプラリーをやって何か企画を打ち立てた気になっていることは単なる自己満足であり、創造性のカケラもないからだ。そこに金魚の糞のようにへばりついている有象無象に興味が湧くだろうか。平準化されて均された生首の陳列棚のようだ。また、たとえ完走者が多くても、スタンプラリーでスタンプを集めることと、スタンプラリー企画でまわった作家・サークルの本に興味を持つこととは違う。もしスタンプラリー企画でスタンプを集める人に企画参加作家・サークルへの興味を持ってもらいたいなら、そのスタンプラリー企画参加作家・サークルに敢えてジャンルなどの共通項を提示するというのも手である。それは無理矢理でも構わない。たとえば卒塔婆のように。

 Google検索により過去の文芸界隈スタンプラリー企画を並べてみる。企画参加作家・サークルに目立った共通点(色)があるかを中心にメモを残す。
【文学フリマ系】
本めぐりスタンプラリーin第十一回文学フリマ
 参加サークル12。それぞれの作家・サークルに目立った共通項がない。

第十二回文学フリマ・スタンプラリー(無料/非公式)
 参加サークル14。それぞれの作家・サークルに目立った共通項がない。

卒塔婆スタンプラリー(超文学フリマ)
 参加サークル6。ブースに卒塔婆が立っている共通項がある。

三題噺スタンプラリー(第十七回文学フリマ)
 参加サークル10。三題噺を集めて一冊のアンソロジーにするというのが面白い。

【その他系】
TAT-QUEST(タトホン)
 参加サークル未詳。文芸に限らず。各サークルでQUESTをするのが面白い。

 文芸界隈と一口に言ってもそれは古代エジプトだ。ギザのピラミッドを建造したクフ王の時代とクレオパトラの時代は同じ古代エジプトであっても2600年もの時間の隔たりがあるように、文芸作家にはそれぞれの特色があって違っている。それは殷の紂王と毛沢東が違うように異なっている。もしそこに非公式ガイド的な意味合いで共通項を見つけ出しアッピールするならば、スタンプラリー企画を実施する意義が出てくる。その共通項はわかりやすければわかりやすいもの程良いだろう。たとえば廃墟だとか民俗だとか宇宙だとか。そんな共通項があれば、曖昧な盛り上げ賑わいといった目的ではなく、一般参加者に理解できるよう文芸サークルの存在を提示する目的がちゃんとそのスタンプラリー企画にあることを証明できる。そして企画者はそれを証明しなければならない。
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by suikageiju | 2013-12-05 22:05 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
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