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モジノオト
 きっと3月8日は本の杜5だろうと思い込み、快天の下で川崎産業振興会館へ赴くと入口横の「本日の予定」に「本の杜」の文字列は見当たらなかった。ヤバい匂いがプンプンした。受付のオヤジに尋ねると本の杜5は翌3月9日開催との返事である。あまりにも残念で空はこんなにも青いので、堀之内で泡踊りなどをしたあとアートギャルリ谷中ふらここで開催されているというモジノオトへ出掛けた。
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 モジノオトの事前情報といえば非公式ガイドの推薦作会議で秋山真琴氏からもらったチラシくらいである。それによればモジノオトは第2回目で、絶対移動中および雲上回廊の共同開催みたいな形で運営されているらしい。そして主な題目は朗読劇とのこと。絶対移動中と雲上回廊といえば美麗な表紙や挿し絵によってその名を創作文芸界に轟かしているサークル群である。西日暮里駅から不忍通りの方へ下りていき、よみせ通りを左に折れて少し歩くと見知った顔がのっぺり立っている。最高責任編集者の高村暦女史である。「朗読劇は期待できるのですか」と尋ねると「場所を借りてやるのだから当然でしょう」と女史。そんな女史の立つところが谷中ふらここであった。
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 狭い階段をあがると「絶対移動中」と墨書された和紙が新興宗教のお題目のようにびっしりと垂れ下がって二階である。廊下を踏み越え、10人も入れば一杯になるだろう和室風の会場奥には祭壇のような低机が設えてあって中央に置かれたタブレットからは動画が流れ、その両脇には漫画風のイラストが飾られていた。また会場の壁には至るところに、たぶん文芸誌「絶対移動中」から抜き出した台詞が書かれているのだろう丸紙が貼られていた。階段の上、会場から廊下を隔てた対面には物販スペースが設けられ同人誌が頒布されている。
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 入場料として500円払い冊子やパンフレットを貰う。朗読劇は16時から始まった。三幅対の下、中央には秋山真琴氏、その右手には宵町めめさん、左手にはさつき女史が腰かけていた。3人ともスーツ姿である。満員の会場へ最後に入室したため、鯨は秋山氏とさつき女史のすぐ前に座らされ、45㎝あるやなしやの距離に鯨然とした鯨の顔を迎えさせ秋山氏を苦笑させてしまったことは済まなく思う。それにしても朗読中は目のやり場に困った。秋山氏の股間ばかりを見ているわけにもいかず、朗読者らの頭上に飾られた三幅対などを見たりさつき女史の彫刻めいたくっきりとした目鼻立ちを鑑賞したりしていた。朗読劇は秋山真琴氏の著作における世界観をもとにした書き下ろし台本を交互に読むという内容で、最初の四十分間は「これ大丈夫だろうか」と不安に思いながら聴いていたけれど最後の十分間で魅き込まれた。人の声を聞くだけでも朗読劇は心地よいものだ。ただ、練習不足と台本が朗読向きでないという感想だけは隠せなかった。でもこれはこういう形の朗読劇でありこういう会なのだから、鯨は充分なくらいモジノオトを堪能したのである。
 帰り道、外にいた伊藤鳥子女史に挨拶をし、西日暮里駅へ向かう道中で高村暦女史が、ウーンウーンと反芻する牛のように唸っていてまるですぐにでも呼吸するように批判めいた文言を口に出しそうだったので鯨は制止した。「Ustreamも非公開制だし、お客さんもどうやら内輪のようだ。つまりモジノオトは何から何までともだち会である。もし批判めいたことを口にするなら君はおともだちではなかった。ゆえにここにくるべきではなかった」、「入場料の500円だって本の代金という名目でとっているはずだ」しかし反論が帰ってきた。「なら最初から入場料ではなく本の代金と書くべきです」。確かにそうだと鯨は屈服した。そんな高村女史から聴いたのが青波零也氏が本格的に朗読教室に通っているという情報である。そして、どうやら今聴いたのは第2部でその青波氏が登壇した第1部は既に終わっていたらしい。
 その後、秋葉原の伍戒○すべてへ行き永田希氏の『モダン・ラブ』を購入した。
by suikageiju | 2014-03-09 00:25 | 雑記
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