今日も「シネマテーク・フランセーズ」から。二日連続になってしまったけれど、この企画は決して毎日更新ではない。世間はそんなに寛容ではない。今日はフランス語題「VISAGE」という台湾映画。監督はTSAI MING-LIANG、1957年にマレーシアのクチン(猫町)で生まれて、台湾で映像教育を受け台湾で活動している。漢字では蔡明亮と書く。彼の映画を鯨はまったく知らなかったし、観たこともない。
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 それでは訳していこう。
ある台湾の監督はルーヴル美術館でサロメの物語を撮影するよう招かれる。彼は英語もフランス語も知らないにもかかわらず、どうしてもヘロデ王の役を喜劇役者ジャン=ピエール・レオに託したいと固執している。このフィルムにチャンスを与えるため、制作会社はサロメ役を国際的名声のあるトップモデルに委ねる。しかし撮影の冒頭から問題が蓄積し……。


文法としてはbien que~で「にもかかわらず」、それに「il sache」とsavoirの接続法現在形が使われていることくらいか。la productionを主語に据えたときの適訳、そしてquelque chanceの訳に悩んだ。Jean-Pierre Léaudが誰かを知らなかったけれど、フランソワ・トリュフォーやヌーヴェルヴァーグ映画と関わりの深い俳優とのこと。確かに蔡監督は「台湾映画の初期ヌーベルヴァーグ期の10年間に現れた監督」という説明もあった。ということは、ルーブルに招かれた台湾の監督とは蔡明亮本人のことなのだろう。そしてジャン=ピエール・レオは売れない、流行らない、時代遅れの俳優といったイメージがフランス人の中にはあるのだろう。あるいは映画そのものを破壊してしまうような魔力を秘めているのか。いずれにせよ、ジャン=ピエール・レオ起用であいた穴を塞ぐために制作側は世界的トップモデルをサロメ役に据える。でも撮影冒頭から問題が次々と起るのだ。きっと台湾人監督は己の美学を追求するために、採算度外視でサロメの映画撮影を完遂させようとしたのだろう。洗礼者ヨハネの首を本当に斬ってしまったりたりたり。どんな問題が起ったのか気になる。VISAGEは顔の表面という意味。サロメ役のトップモデルの顔と血の気を失った洗礼者ヨハネの顔が大きく、点対称のようにして映される画が思い浮かんだ。いったい、どんな映画なのだろう。
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by suikageiju | 2014-04-09 23:00 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)
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