カテゴリ:テキレボ・本の杜( 11 )
てきれぼ一般参加
 2015年3月8日に川崎市産業振興会館で開催されたText-Revolutionsに一般参加した。春霖のなか原付を走らせて多摩川を渡り産業振興会館に着いて十階へ昇ると和室の上がり框にハイヒールが一揃え置いてあった。細いフォルムの影が障子から透ける光に混ざる。すぐに淫靡なものを感じた。全身の生殖細胞が「逃げろ」と叫んでいた。四階に逃げた。十階の和室は休憩室で、てきれぼの会場は四階だったのだ。
 4の数字が輝く階でエレベーターが開くと、すぐ賑わいに圧倒された。振り返れば川崎市産業振興会館でここまでの賑わいを経験したことはなかった。鯨はすぐに真乃晴花さんから委託窓口を頼まれた。委託窓口はひっきりなしに来客があって対応に追われた。暇を見つけてブースを回った。
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 買い物を済ませて再び十階の和室へ行くと誰もいなかった。お茶やお菓子が置いてあったので寛げたけれど、即売会の休憩室は会場の喧騒の隣、一体感の辺境にあるから楽しめるのであって会場から離れすぎているとそこはもう別の体系で組み立てられた空間なのだなと思った。みんな欲しいんですよ、一体感。あとカタログがなかったのは不便だった。webカタログがあったらしいけれど配布されたパンフレットにurlなどの記載がなかった。
 ともかくテキレボが開催され無事終幕したことを祝福する。おつかれさま、ありがとっ。

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by suikageiju | 2015-03-08 14:16 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
本の杜4報告
 「台風18号で東京はひどいことになるのだ」とは思わなかった。午前6時に屋根を打つ雨音に起こされたとき「昼にはどうせやむのだろう」と信じた。人は台風接近の報に直面したとき、きっと自分はニュースに取り上げられるような甚大なる災害の被害者になるのだろうと思いこむ傾向がある。鯨はそこを逆手にとった。「特別警報になるやもしれぬ」という予想が思い浮かんだと同時に「きっと今日のうちは大したことにはならないのだ」と直観したのだ。まだ台風は上陸せず、ちょっと前線がぐずついただけに過ぎない。数サークルがTwitterで参加とりやめを示唆するなか、鯨は直接搬入用のダンボールを緩衝材のビニル袋で包んだ。
 小田急線も山手線も京浜急行も少々の遅延があったものの運行休止にはならず、ちゃんと動いていた。そして問題なく9時15分ごろに新しくなった京急蒲田駅に着き、その10分後には大田区産業プラザPiOに到着して会館前に待機列が出来ていることに驚いたけれど、よく考えればそれは1階大展示ホールの蒲田鎮守府の一般待機列だった。
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 2階小展示ホールへ行くとすでに机と椅子の設営が終わっていた。鯨はスタッフ証をもらい「A」「B」「C」「D」の紙を机の端に貼った。カタログをもらうと西瓜鯨油社の紹介文の半角空白が半角の「?」に文字化けていた。改行は反映されていなかった。アグロシさんは細面に困惑を浮かべながら弊社ブースへ寄ってきてカタログを開きアグロシ文庫の紹介文を見せてくる。読むと出だしが一文字欠けていて、しかも同じ文章が3回くりかえされていて狂気じみていた。「主催に悪意はない」ということで2人の意見は一致したが、読みにくく配置図のない不親切なカタログを2度と開くことはなかった。
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 スタッフとしての仕事がなくなるとブース設営をはじめた。ダンボールは防水が不完全で『オルカ』の7冊くらいが濡れてしまった。そのうち天地は濡れたけれど小口は乾いている3冊の奥付に「水濡れ無料配布」と追記してチラシ置き場に置いた。
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 予定通り11時に6割方が埋まった状態ではじまった本の杜4であったけれど、遅れてやってきたサークルが加わって午後になると9割方のブースは埋められた。午後にはもう雨はやんでいたのだ。ただ一般参加者は少なかった。もちろんいなかったわけではないけれど少なかった。それと期待していた蒲田鎮守府からの流れ人は10人くらいであったように思う。台風なのに来場してくださった方は勇敢者として称えたい。サークル数が本の杜3よりも増えた分、一般参加者の比率の低さが目立った。「読んでもらいたい人は多いけれど、読みたい人は少ない」そんな作文界隈の現実が浮き彫りになった。悲しいけれどこれが現実なんだ。
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 今回も休憩所にお茶と珈琲とスナック菓子が提供された。たった500円で4時間強も見本誌読み放題で居座れる「蒲田文芸カフェ」が出現したのだ。もっとこの点を主催はアッピールすべきだと思う。だって本の杜の取り柄って、この休憩所と見本誌くらいじゃないの? もしくは委託サークル専門イベントにすると云う手もある。鯨は少しだけ委託受付に座っていたけれど、思っていた以上に委託サークルさんの本が捌けていた。「サークルの人がいると選びにくい」という層にこの委託サークル専門イベントは受けるかもしれない。
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 15時半に、本の杜4はとくに盛り上がりを見せないまま静かに幕を閉じた。撤収の後、17時半から公式打ち上げだったが、そこまで待っていられないのと、会費が4000円と高額なので、鈴木さんが引率し、伊織さん、クロフネ三世さん、高村さんと鯨の5人でJR蒲田駅西口の鳥万3階で非公式打ち上げを執り行った。自己承認欲求とニューアカ風潮と下ネタ受容における性差について文学部3年生的な談義を交わし、それぞれの路線へと帰って行った。非公式打ち上げが終わったとき、昼に本の杜が開催されていたことを覚えている者は、少なくともその5人のなかには1人もいなかった。

 帰宅してから収穫品を整理した。
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・『星を食べる少女』、田島大、新嘲文庫
 鉄道物の師匠。

・『夢の降る街』、水無月美伊、紫陽花宮
 なんだか読みやすかった。

・『飄々』(第67号)、大東文化大学文化団体連合会國文學研究会
 無料配布。

・『軸』、南風野さきは、片足靴屋
 委託本。装丁と値段を見てこれは買うしかないだろうと思った。

・『猫少年二篇』、少年憧結社猫
 銃をベースに持ち替えて戦う二人の写真が良い。すべての楽器を武器に。

・『断片集』(ver.130915)
 いつの間にかおしゃれな装丁になっていた。

・『脅す人形』、乃木口正、妄人社
 棒人間が気に入った。

・『書物回廊――俗・ある濫筆狂の記録から』、鈴木真吾、C-ROCK WORK
 
・『鉄人四迷の十二迷』、鉄人四迷
 「ドゴン」が殊の外良くて購入。

・『出雲残照』、唐橋史、史文庫
 唐橋さんの本は今まで2冊くらい読んだことがあるけれど今回はじめて購入。歴史物は史実どうかはともかく「歴史」によって裏打ちされたコンテンツとしての魅力がある。たまたま『赤朽葉家の伝説』を読んでいて伯耆国から出雲国あたりに興味を持っていたので。

 本の杜5は2014年3月9日に川崎市産業振興会館にて開催とのことだけれど、次回は参加するのかどうかはじっくり考えてから決めたい。
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by suikageiju | 2013-09-15 23:58 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
本の杜4
 ここに読まれなかった小説がある。正確には、多くの人が最後まで読まなかった小説である。幸いにもこの小説は電子書籍なので、購入した読者が小説全体の何%まで読んだのかを電子書籍販売サイトがすべて把握している。そしてインターネット上の「日記」や「さえずり」でどのような発言をした読者がこの小説を何%読んだのかも統計でまとめられている。
 その統計によれば「日記」や「さえずり」でこの小説の題名とともに「殺」「死」といった単語を使った読者の平均値は5.8%で中央値にいたっては3.5%。そしてそういった単語を使わなかった読者の平均値は86.3%、中央値93.0%だった。
 2022年10月25日、電子書籍作家アルベルト・フジタは情熱的な女性読者により殺害された。アルベルトが刊行した電子書籍は生涯で1冊だけで、その唯一の著作である『淡い膵臓』は大手電子書籍販売サイト「密林」で3万7052冊販売された。発売開始から3週間たってインターネットのあちこち、「日記」や「さえずり」で『淡い膵臓』の著者に対する殺害予告が出はじめ、インターネット上の社会現象のようになったけれど、警察は対処を怠った。
 そして2022年10月25日早朝、アルベルト・フジタこと本名藤田有平は渋谷道玄坂で高校時代の友人たちと一晩中飲んで酩酊したまま自宅近くの公園に帰ってきたところ、彼の読者である白丘みなみによって腹部を凶器で刺された。公園の滑り台の下で冷たくなっていた藤田有平は第一発見者でもある白丘みなみの通報により救急車で搬送され病院で死亡が確認された。死因は出血多量による多臓器不全だった。
 公園で逮捕された白丘みなみ(23歳)は犯行の3日前に『淡い膵臓』を「密林」にてクレジットカード一括払いで購入したことが警察の調査で分かっている。そして北沢警察署の捜査に協力した大手電子書籍販売サイト「密林」は彼女がその『淡い膵臓』を1%も読んでいないというデータを警察に提出した。0.5%、これが白丘みなみによる『淡い膵臓』の読書量であった。その事件を担当することになった北沢警察署の刑事はそのデータを受け取ってとまどった。『淡い膵臓』をほとんど読んでいるのであれば彼女がその作者である藤田有平を殺害した動機はなんとなく推測できるけれど、1%も読んでいない本の作者を殺害した容疑者の動機なんてこれっぽっちも推測できないからだ。事実、彼女は藤田有平殺害の動機について「彼がアルベルト・フジタだからです」と証言したきり口を閉ざした。黙秘権の行使である。(牟礼鯨、『淡い膵臓』より)

 西瓜鯨油社は9月15日(日)に大田区産業プラザPiO、2階小展示ホールで開催される文章/文芸作品オンリー同人誌即売会本の杜4に参加する。
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【配置場所】
 D-08

【頒布物】
・『昔鯨類』(58頁)、牟礼鯨、本州初
 詩歌でもなく、物語でもなく、反吐の出る言葉を束ねた本。
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・『オルカ』(108頁)、牟礼鯨、東京初
 孤独な惑星における最後の少女、オルカ。彼女を守るは三百の去勢旅団。性交を望むは三億の残存人類。謎かけに答えられれば性交。答えられなければ無惨な死。欺き合い騙し合い殺し合いながら、男たちは誇り高き戦死を遂げる、人類史を明日へと繋ぐため。
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・『flugas filozof'』(賢者は飛ぶ、128頁)、牟礼鯨
 9篇の卑猥短篇集。かつて、ミソジニー中毒文学と呼ばれたジャンルに属する詩的短篇群。
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・『文学フリマ非公式ガイドブック』第二版と第三版、委託
 第一版を第十四回文学フリマで146部売り上げ、総入替された第二版は第十五回文学フリマで157部売り上げた非公式ガイドブック。その第二版とまた全て入替えた第三版。7人の編集委員が文学フリマで売られているおもしろい創作文芸誌を真剣に選出した素人と玄人のための創作文芸えらび指南書。佐藤さん追悼頒布!



【備考】
・「西瓜鯨油社」は「すいかげいゆしゃ」、「牟礼鯨」は「むれ くじら」と読みます。
・とりあえず「西瓜鯨油社宣言」と「会社案内」をお読み下さい。
・事前に質問などがございましたら「murekujira◎gmail.com」(◎→@)やコメントまで。
・小便もしくは尿意に対する強迫観念があるのでよくトイレに行きます。鯨不在の場合は待っていてください。もしくはAmazon Kindleストアでショッピングして待っていて下さい。
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by suikageiju | 2013-09-13 21:11 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
本の杜4に向けて
 9月15日、日曜日に開催される本の杜4に西瓜鯨油社は参加する。というのも暫定リストが既に上げられていてそこに西瓜鯨油社の名があったからだ。それにしても本の杜が開催日2週間前に暫定リスト公開とは驚かされる。本の杜2では開催日前日になるまでサークル参加できることを参加サークルに伝えないドッキリで場を盛り上げ、本の杜3ではサークル参加者数よりも少ない一般参加者に珈琲をふるまって賑わいを演出した当イベントは第四回目の開催を迎えるにあたり大田区産業プラザPiOに舞台を移すと云う。もちろん会場は文学フリマ参加者が知っている1階大展示ホールではない。あの、2階小展示ホールである。もう本の杜はカフカの「城」ではなく天空の城なのだ。
 そんな架空の同人誌即売会、本の杜4のイベント内企画として「ホンノヤシロ」と「断片集」がある。

ホンノヤシロ:「本」を題材にしたBLアンソロジー。
断片集:原稿用紙十枚縛りの小説アンソロジー。

 断片集は前回の本の杜3でも企画された創作アンソロ企画で、前回は牟礼鯨も参加した。今回は前回よりも多くの作家が参加しているようだ。断片集は今回も本の杜の目玉となるだろう。もちろん『ホンノヤシロ』についても、どこの主催が腐女子どもの標的になるのか、楽しみでしょうがない。あとは少年憧結社猫も忘れてはならない。
 西瓜鯨油社は福岡ポエイチで出した『昔鯨類』と大阪と幕張で出した『オルカ』を猪瀬都政下ではじめて頒布する。
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by suikageiju | 2013-09-01 13:49 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
本の杜3報告、割に合わない
 夜の国道409号と多摩堤通りを原付で走るのが好きで、咥え煙草で法定速度内ギリギリに青信号を青信号で繋いでいった。夜風に冷えた肩をもみほぐしながら、風圧で呼吸の機会を失いながら、そして喜多見で給油して帰宅した。自宅から川崎の会場まで大体1時間強かかる。
 朝、福祉車両向け駐車場の脇に設けられた駐輪場に原付を停めて、自己啓発系セミナーの受付設営を横目に、エレベーターで川崎市産業振興会館4階にある展示スペースへ行くと、既に左隣の月砲屋さんが設営を終えていた。「砲」の字をサークル名や筆名に使うセンスを鯨はとても高く評価していて、かく云う鯨も高校時代の筆名は「牟礼砲雄」(むれつつお)であった。名前と云えば今日参加した文芸作品オンリー同人誌即売会は「本の杜」であって「本の社」ではない。終了後に「もしかしたらサークル参加者のなかにもまだ“ほんのやしろ”と発音している人がいるんじゃないか」と話題になり、それで各自端末機器で検索してみたら「本の社」表記を見つけてしまって、皆の顔色がみるみるうちに蒼ざめた。
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 11時になんとなく本の杜3が開幕し、各サークルは長い撤退戦をそのときから開始していた。今回の一般参加者は40人台だそうで、サークル参加者数を下回ってしまった。それは前回の一般参加者がサークル側に回ったことや「座敷童」的存在であるスケブ男の不在などが原因として考えられる。そうなると動く貨幣と書籍の数も限りがあり、参加費や交通費を差し引いても本の杜を割に合わないイベントだと考えるサークル参加者もなかにはいるのではなかろうか。だが鯨ははじめから本の杜に何も期待していないので、ただあたたかい珈琲を飲んで満足していた。前回は麦茶が飲み放題であったが、今回はそれに加えて珈琲を飲めるようになった。乾き物は海胆味の揚げ煎餅しか出ていなかったのが残念だったけれど飲料の無料提供という分野においてはこの本の杜が同人誌即売会界隈の先頭を走っていると思う。
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 今回の戦利品を羅列すると横浜新聞研究所さんの『全国新聞事情その18新・南関東編』や寄稿もした本場の歩登屋さんの『断片集』。前述した月砲屋さんの『スメルズライクシンデルスピリット』は版画で多色刷された表紙が良い味わいで、文学結社猫さんの深城巧祐著『鮨・きゅうり夫人』の表紙はシュールで素晴らしい。アグロシさんの『アエロシェパード』は重厚で、『エンゼル節行進曲1』は薄い。白石薬子さんは百合とSFのスペクトラムにとまどって『はくの』、素敵女子な志水了さんの『カラスが住む庭』の決め手はやはり文庫サイズの掌フィット感。神風零さんの『答え合わせは、後でいい』は題名のメッセージ性に打たれ、鯨を「きょわい」(恐い)と形容したアホウドリの祭典。さんの無料本はトラブルコレクターズの無料配布BOOK『タダコレ!』だった。
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 15時半に本の杜3はなんとなく終わり、16時半ごろには撤収作業があらかた終わっていた。その後、打ち上げ参加者の二十数名は展示場や一階の待合スペースで暇をつぶし18時前から鳥貴族京急川崎店で打ち上げをはじめた。原付を歩道橋の下に停めておいたら駐車監視員に目をつけられたので、お店の一階に入れておいたらお店の人、というより本の杜打ち上げ参加者のアイドルと言った方が分かりやすいだろう堤ちゃんに原付を建物の外に出すように言われる。結局原付はタイムズ駐車場の黄色い看板の下に置いておくのが正解だった。打ち上げに参加したのはクロフネ3世に児玉さん、崇山祟さんに鈴木さんと幼女と幼女父、アグロシさんに添嶋さん、主催者に御拗小泉夫妻、月砲屋に歩登屋、まこにてんまさん、綺麗系女子の志水了さんに鯨と清風だった。まだ挨拶していないだけで他にも参加者はいたと思う。また、とあるテーブルでは「主催者総受け、鯨鬼畜攻め」本の話で盛り上がっていたようだけれどBL界隈の語彙に詳しくない鯨にはなんのことか分からない。なので今回、特に御拗さんと児玉さんの心を制したのは山本清風の発言した「菊門(アナル)に張形(ディルド)」という言葉ではなかったか、と推測する。
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 次回の本の杜4は9月15日に大田区産業プラザPiOで開催される。続報を待て。
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by suikageiju | 2013-03-17 23:03 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
川崎での本の杜開催はこれで最後
 第1回目の本の杜について、「川崎ですし、参加されてはどうでしょう」と勧められたのに参加しなかったことを鯨は後悔している。去年の本の杜2の参加でその遺言を実現し、そして本の杜3で川崎開催の本の杜は終わり、本の杜4は9月15日に大田区蒲田で開催されるという。

 今の川崎駅東口の繁華街は東海道の宿場である「川崎宿」を由来とする。多摩川を渡河する六郷の渡しから本町、砂子、小土呂橋の交差点を通り南武支線の八丁畷駅を結ぶ道がかつての東海道であった。そして本町交差点の付近にあったのが新宿であり、そこには「飯盛女」と呼ばれる娼婦を置いた飯盛旅籠がひしめいていたという。これら飯盛旅籠は時代の変遷と政府の取り締まりを経て今の堀之内や南町にあるソープランドの起源となった。今も昔も貨幣によって「無縁」となった肉体を売り捌く土地である川崎駅東口には現在、2002年に開業し2009年に恋人の聖地に認定されたラチッタデッラがあり、情を深めた男女が赴く現代版旅籠ラヴホテルも近くに用意されている。また川崎駅西口では2006年にラゾーナという大型商業施設が開業している。かつて「工業地帯」「競馬場・競輪場」「風俗街」というイメージだけが先行していた川崎に若い女性も遊びにいける性風俗街という印象が与えられつつある。
 そんな場所で開催されているのが文芸同人誌オンリー即売会「本の杜」である。川崎の売春宿で女性が自らとは無縁とした肉体を鬻ぐように、作家たちは製本作業を施して自分たちとは無縁とした「作者の死」を経た本を頒布した。土地の魅力も相まってテキストの快楽を参加者に与えてきた本の杜はたった3回で川崎の地を後にする。大田区蒲田で開催される本の杜4について、鯨には遺言の束縛はない。だから次回も参加するとは言えない。

 3月17日(日)に川崎市産業振興会館で本の杜3が開催される。

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by suikageiju | 2013-03-16 19:47 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
本の杜3
 前回はいろんなことがあったけれど今回は案内書類がなんと開催日2週間以上前に届いたので何事もなく3月17日(日)に川崎市産業振興会館で開催される本の杜3に参加できる。主催者は意外とできる男だった。今回、参加サークルリストには文学フリマなどに参加する創作文芸サークルの名を多く見ることができる。地方での開催となる第十六回文学フリマin大阪や客層の見通しの立たない超文学フリマなどを避けたサークルが申込んだのだろうか。賑わいを期待できる。また本の杜4も見込まれていて3連休の中日2013年9月15日(日)に大田区産業プラザPiO小展示ホールで開催されるという。地方から東京へと成長を続ける文章系作品オンリー同人誌即売会本の杜から監視の目が離せない。
 それと本場の歩登屋さんが主催する断片集企画にも参加予定。
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【配置場所】
 A-19

【頒布物】
・『南武枝線』 (82頁)、牟礼鯨
 痴漢で出会った嘘つきとサイコパス。嘘つきの始めた「新日程」が南武支線を怪異させる。記憶を喪う鉄道幻想譚。頒布後の反応はこんな感じでした。
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・『flugas filozf'』(賢者は飛ぶ、128頁)、牟礼鯨
 9篇の卑猥短篇集。そのうち7篇は『ガリア女』収録作のため地方同人誌即売会限定版だったが、もういいだろうということで冬コミにて東京解禁。
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・『コルキータ』 新装第四版(174頁)、牟礼鯨
 「コルキータを買った男は四十日で死んだ」16歳の少女はみな破瓜祭で破瓜される世界。 破瓜祭以前に男を知った罪によって子宮を奪われた美少女娼婦コルキータは死の呪いを身にまとっている。この少女と出会い、恋の感染症のために狂気へと追いやられる青年ダオ。やがてダオの求愛行動は殖民地戦争という歴史のうねりにまきこまれ壮大な叙事詩となる。真実の愛さえあれば死の呪いから逃れられると信じたダオの運命は? 官能的言語で綴られた「娼婦幻想譚」新装第四版。
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・『文学フリマ非公式ガイドブック』第二版(64頁)、委託
 第一版を第十四回文学フリマで146部売り上げ、この総入替された第二版は第十五回文学フリマで157部売り上げた非公式ガイドブックをコミケでも頒布。どこよりも真剣におもしろい創作文芸誌を選出した指南書。
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【備考】
・「西瓜鯨油社」は「すいかげいゆしゃ」、「牟礼鯨」は「むれ くじら」と読みます。
・事前に質問などがございましたら「murekujira◎gmail.com」(◎→@)やコメントまで。
・小便もしくは尿意に対する強迫観念があるので冬場は頻繁にトイレに行きます。不在の場合は立ち読みするかAmazon Kindleストアでショッピングして待っていて下さい。


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by suikageiju | 2013-03-02 20:17 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
本の杜3申込
 川崎市産業振興会館にて3月17日(日)に開催されるという文芸作品オンリー同人誌即売会本の杜3にオンライン申込を済ませ、郵便局のATMで参加費を振り込んできた。前回はいろいろあってこのイベントをカフカの城に喩えて
参加できるのではと期待してぐるぐる周囲を廻っていても永遠に参加できない。城主はいるが便りを送っても返答はない。答えを持っているのは「城」の周囲に住む村人だけ。

と書いたけれど、実際に参加してみたら悪くなかったし、去年11月に川崎市を主な舞台にした『南武枝線』を刊行してしまったこともあって、今回も参加することにした。勘違いしないで欲しいだのけれど、決して応援したいとか、そういう理由での参加ではない。

変わらないモノがある
 同じ文章オンリー系のイベントに「挑戦し続ける」文学フリマがあって、超文学フリマや大阪開催など様々なイベント形態に挑戦し変化し続けている一方で、この本の杜には変わらないものがある。
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本の杜3仕様にサイトが更新されているはずなのに「最終更新 2011年9月3日」のままなのだ。これは2012年開催の本の杜2のときもこの日付のままで、第一回の本の杜開催が2011年9月24日だから、きっとこれは当分変わらないのだろう。本の杜におけるひとつの神話的時間としてこの「2011年9月3日」は永遠に刻み続けられる。またオンライン申し込み画面でも
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ラジオボタンの右に添えられた文字は「本の杜2」である。歴戦の猛者もさすがに暫し申し込み手続きをためらうに違いない。鯨もためらった。オンライン申し込み手続きを済ませて機械返信メールを受け取ってからも、本当に参加費を振り込んで大丈夫か? と数日迷った。でも今日、意を決して参加費を振り込んだ。

 本の杜、いろいろあるだろうけれど日本に片手の指の数もない文章系オンリー同人誌即売会の一角である。怖いもの見たさでも構わない、少しでも興味を持ったのならオンライン申し込みは2月11日まで受け付けているらしいのでお早めに。
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by suikageiju | 2013-02-06 15:46 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)
本の杜2報告
本の杜2が9月29日15時30分に無事終わった。サークル数46に対し一般参加入場者数はそれを上回る50人超になったとのこと。夜勤で精神と肉体を削りながらも集客に尽力された主催者及び準備会には感謝したい。また、つぶらな瞳をした主催者によると西瓜鯨油社の当落通知が開催日前日になったのは単に案内発送準備段階でのリストに弊社が漏れたことが原因らしい。次回はこの経験というか失敗を生かして申込受付から案内発送までをシステム化するらしいので当落通知や早期レスポンスには期待できるだろう。またその本の杜3は『本の杜2イベントカタログ』の代表挨拶文によれば、同じく川崎市産業振興会館にて2013年3月17日(日)に開催されると告知されている。奇しくもその一ヶ月後、2013年4月14日(日)の第十六回文学フリマ大阪開催なので創作文芸及び評論の首都圏での受け皿としての機能を本の杜3は期待されているのだ。更なる拡大が見込めるだろう。
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上の写真は川崎市産業振興会館である。JR川崎駅改札口を出て左手西口から線路沿いの大きな道を多摩川へ歩けばたどり着ける。だが、この産業会館は川沿いにひっそりと佇んでいるので見落として道に迷われた方もいた。まさになかなかたどり着けない「カフカの城」然としている。その4階で開催された本の杜に西瓜鯨油社は今回初参加したけれど、サークルスペースは広々としており、通路も歩きやすく、見本誌スペースの前には無料で麦茶を飲める休憩スペースもあって居心地がよく、スケブ男も徘徊できるくらい余裕のある落ち着いたイベントであった。暇な土曜日、川崎駅での買い物帰りに立ち寄りやすい同人誌即売会である。
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弊社は今回三種類の本を持って行き『勃起不全機械β』は13冊、『物語群』は1冊、『flugas filozof'』は5冊捌けた。なかには全冊買いされた方もいた。今回はまったく営業せずに立ち読みしたい人には顎先で促し勝手に立ち読みさせて声をかけず話しかけられたら話し返すという方針でやった。接客時間以外は隣の出版評論社のバーバラ・アスカさんと話したり横須賀脱線男を冷やかしたり、鈴木さんとマコさんのかなまらの仲を確かめたり、会場内を見回ったりした。一般参加者だろうか、添嶋譲さん、栗山真太朗さん、象印社総裁くまぞうさん、桜井夕也さんなどの姿をうかがうことができた。会終了後には京急川崎駅近くの鳥貴族でサークル参加者6人、一般参加者2人、主催者、他のイベント関係者3人で打ち上げをした。同人誌即売会運営の裏話や徹夜組の駆除法、金の玉おじさんの話などで盛り上がった。次回以降、この打ち上げを本の杜公式で行うとのこと。

【獲得品】
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・『お日さまがあった時』、雨の冬、すうぱあーなになに
 チリ共和国からやってきた留学高校生カルロスの作品。村上春樹、三島由紀夫、吉本ばななが好きで、友人に手伝ってもらいながら書き上げたらしい。ラテンアメリカ文学の影響を受けた日本創作文芸がここにある。

・『家で作れる海軍めし4』、バーバラ・アスカ、出版評論社
 お隣さん、「出版評論社といえば、暗黒通信団と並ぶイロモノ評論サークルですよね」などと鯨は言っていた。おしゃべり好きな人。翌日の新潟コミティアへ夜行バスで向かうらしい。夜行バスにまつわる小便的不安について話した。

・『オーケストラの祭日』、ありすうちゃ、二乗天使
 偶然くまぞうさんと同じ本を購入し、胸の谷間目撃談で盛り上がった。ご本人もオーケストラ経験がある上でのオーケストラ物。本の杜終了後は当然オーケストラの練習へ行く。

・『川と夕陽とたい焼きと』、つむぎゆう、懐中天幕
 文章に定評のあるサークルと聞いて購入。この手の本って過剰な表現を盛り込んで読みにくくなっている例が多いけれど、このサークルさんは読みやすい。

・『少女地獄第九階層』、風合文吾、少女地獄第九階層
 地獄の淵から這い上がってきたような方が座っていたので気になって購入。

・『そうだよ36』、鷹部屋荘平、ミニコミそうだよ編集室
 遅れてやってきたお隣さん。湘南では有名なミニコミ屋さんらしいけれど全編手書き。挿絵がシュール。

・『Phony』、歩登、本場の歩登屋
 話しかけるといきなり漫才がはじまるサークルさん。

・『黄昏シャンパーニュ』、文芸創作ほしのたね
 その可憐さに苛立ちながら購入した、購入せざるをえなかった。

・『Melted Fortunes -White Feathers 上 -』、RITSUKA、EYE OF THE MARK
 馬術部ものの下巻。

・『惑星黄金期』、杜甫口、ゆにわ荘
 分厚い398頁の文庫本。著者名は杜甫口だが、名刺には「甫杜口」と印字されている。これには悲しい物語が込められていた!

・『列島神社本マニアックじんじゃらん』、W turismo
 無名な神社の解説や行き方が地図や挿絵付で載っている本。
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by suikageiju | 2012-09-30 09:19 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(4)
本の杜2
西瓜鯨油社は9月29日(土)に川崎市産業振興会館で開催される文芸作品オンリー同人誌即売会本の杜2に申し込んだけれど参加できるのかどうか開催日の3日前になっても分からない。ちなみに第一回目のイベント「本の杜」は参加せず、名前だけは聞いていてサークル参加案内が3日前に来るイベントだとは知っていた。第二回目の開催となる本の杜2の募集は一旦9月2日で締め切っていたのだけれど6日まで追加募集をかけるということを鯨は当の6日に知り、その日のうちにオンライン申し込みをし、ゆうちょ銀行の振替口座に参加費に相当する3000円を振り込んだ。
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そして今日9月26日である。申し込み手続きをした9月6日中に「仮申し込み受付完了」の返信メールは来ているけれど本申し込みが完了したという通知は未だ来ていない。「仮申し込み受付完了」メールには「数日中に送金案内のメールをお送りします」と書いてあるがその送金案内メールは来ていない。そして開催まで3日と迫った今日になっても他のサークル参加者には届いているという参加案内は届いておらず、24日月曜日にお問い合わせフォームから申し込みが受理されたか確認のメールを送ったけれど返答はなく、主催者の方にツイッター上で@を飛ばしたけれどリプライ返しはない。本の杜は西瓜鯨油社にとってまるでフランツ・カフカの小説『das schloss』の「城」である。参加できるのではと期待してぐるぐる周囲を廻っていても永遠に参加できない。城主はいるが便りを送っても返答はない。答えを持っているのは「城」の周囲に住む村人だけ。そしてサークル参加できないのであれば委託参加で妥協するしかない。そんな「城」が川崎駅近く、明治製糖工場跡に聳えている。伝わらなかったかもしれないし、届かなかったのかもしれない。最初から可能性なんてなかったのかもしれない。
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「おまえは今不安か」と問われれば「落ち着かない」と答えよう。もちろん本の杜準備会さんが「私たちはやるべきことをやりましたし、やります。当日参加できるかできないかは当日もしくは前日にはわかりますよ。まぁ、慌てず焦らずお待ちなさい」というスタンスであるなら鯨は一サークル参加者としてそれに従うのが道理だと思う。或いは「西瓜鯨油社さん? ああ、落としました。落選です。これはイベント主催者側としての判断です。ええ、参加費の三千円ですか? あれは準備会への寄付として扱わせていただきます」とするのであればそういうものだろうと思うし「9月6日まで追加募集をかけた? ははあん、あなたはそれを馬鹿正直に信じた、そういうことですね」と愚かさを指摘されるのであれば黙って恥じ入る他ないだろう。でも、もしかしたら27日以降に参加案内が届くかもしれないし、何らかの返答があるかもしれない。もしそういった変化が29日11時までにあれば追って報告する。そして万が一、西瓜鯨油社が本の杜2にサークル参加できるとしたら、以下のような頒布物を持って行く。関西コミティア41と同じだ。
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【配置場所】
 未定

【頒布物】
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(右から)
・『flugas filozof'』(128頁) 地方同人誌即売会限定冊子
 この短篇集の題名は国際補助語エスペラントで「賢者は飛ぶ」という意味を持っている。完売した『ガリア女』を基盤に九篇の卑猥短篇を収録した人間軽視の一冊。

・『勃起不全機械β』(28頁) 地方同人誌即売会限定冊子
  心臟を患ふ妻を氣遣ふあまり、自動機械ロヲラと毎夜性交する澤田禮太郎。軍と心理醫の介入により暴かれる澤田家閨房の眞相とは。そして勃起こそ愛の全てと假定するなら、確實に勃起する自動機械と勃起不全の男と、どちらが人間らしいのか。舊字舊假名で書かれた人間喜劇。

・『物語群』 増補改訂版(568頁)
 『掌編集』と『複雑系』の完売後、「完全なる書物」を目指して掌編・短編集として頒布された『物語群』、その増補改訂版。娼婦幻想譚『コルキータ』と同じ物語世界で、zugzwangな登場人物たちが織り成す83篇の物語群。

【備考】
・「西瓜鯨油社」は「すいかげいゆしゃ」、「牟礼鯨」は「むれ くじら」と読みます。
・質問や取置などはコメントや「murekujira◎gmail.com」(◎→@)まで。


続報
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by suikageiju | 2012-09-26 22:46 | テキレボ・本の杜 | Trackback | Comments(0)