カテゴリ:COMITIA( 42 )
コミティア105
 映画の上映時間まで東京高速道路の下にあるカフェで非公式ガイドブックの仕事を片付けようと本を片手にコレクトの情報カード無地に記入していたら急に「これはコミティアへ行かねばならない」と思い立ち席を蹴って有楽町線で豊洲駅に向かった。豊洲駅から東京モノレールに乗り換えて国際展示場正門駅に着くとやたらと幼児が多かった。ポケモンのイベントが同日開催だったらしい。本当は別の同日開催イベント、鉄道模型コンベンションへ行きたかったのだけれど入場料2000円を見て踵を返し、コミティア会場へと向かった。するとコミティアの出口付近でカップルのうち女の方がティアズマガジンをゴミ箱に投げ捨てようとしたので鯨は開口部に入る前にそれを右手で掴んだ。
「っください」
 女と男は目を見合わせたあと「いいですよ」と言って去っていった。複製とは云えカタログは一次創作家たちの作品が載っている。そこだけ考えるとカタログは同人誌と同じである。それをあたかもゴミのように捨てるなんて。鯨は捨て犬のような目をしたティアズマガジンを掌でさっさっと撫でたあとそれを高く掲げてコミティア会場に入場した。
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 入場後はティアズマガジンを鞄にしまい創作文芸嶋だけをまわった。立ち止まったり立ち読みしていくなかで恋愛ものです、とかアクションがたくさんあります、といった売り文句を多く聞いた。これは個人の趣向によるかもしれないけれど「何について書いてあるか」はもうどうでもいいことで「どのように書いてあるか」が大事なんだよ。ただ「何について」は簡単に言えるけれど「どのように」は説明が難しいかもしれない。でも端的には言えないものがもしあるならそれを言い淀みながら教えて欲しかったと願う。ただコミティアの創作文芸嶋の全ブースの前を少なくとも通過し、あるいは立ち止まって看板などを見て、幾つかのサークルでは立ち読みしたり話しかけたり話しかけられたりしていたところ、ほぼ75%近くが「何について書くか」に注意するあまり「これ漫画で描いたほうがいいんじゃない?」と言いたくなるような本になっていた。(この75%はもし誰かが「そんなことないよ」と怒って来たときに「ああ、あなたは残りの25%ですよ」と言うための平和主義的数字である)つまり、漫画を描きたいのに絵を描けない人が仕方なく書いた小説になっていたのである。そういったものは一般書店で流通している小説にも多いのだけれど、はっきりと言えば小説である必要性がなく、もしそういう小説が創作文芸嶋の過半を占めているのなら「コミティアに小説はいらない」という匿名掲示板的言説は創作文芸嶋自身が招いた結果であろう。なぜなら小説が小説であるという必然性を説くことができないのだから。そして漫画好きが、漫画を描きたいのに描けない人が書いた小説や漫画を描きたいのに描けない人が描いたイラストに嫌悪感を抱くのは、「自分なんかいくら努力してもできないっすよ」と言って自分のできる範囲でしか行動しない人間をクリエイティブっぽい人が軽蔑するのと同じ心の動きをしているからで、それは自然な感情なのだから。
 とりあえず映画上映開始までに入手した以下の本が手もとにある。
・『言惑小景』、ひではる、PEN-吟
・『藍色のモノローグ』
・『「■」』、河村塔王、ICU
・『女装男子がかわいすぎるので同人誌をつくってみた』、絶対移動中
・『世界の鯨Art Book』、世界の鯨

 
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by suikageiju | 2013-08-18 23:20 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
コミティア104報告
 もちろん巷間で流行している言葉は「じぇじぇ」だけれど、電子巷間で流行しているのは忍殺語と聴く。『ニンジャスレイヤー』という書物があり、そこで使われている特徴のある文体が忍殺語とも聴いた。
 5月5日ふらりと立ち寄ったコミティアで、毒々しい色に染められたカーテン生地の洋服をお召しになった伊織さん(兎角毒苺團)が知識雑学研究所のブースに座っていたので、『ブンガクスレイヤー』で読んだだけの半端な知識で忍殺語を試みた。
「アイエエ! イオリ=サン! スゴイデカイチチ!? スゴイデカイチチ、ナンデ!?」
 険のある逆三角の目でギロリと鯨を睨み「すごいむかつく」と伊織さんはつぶやいた。気迫におされ転がるようにコミティア会場の外に出て、初夏の陽をあびながら、抜けるような青空を仰ぐネオ・ウァリウァケ。でも「抜ける」ような青空っていつか語義が変わると思うんだ。

 久しぶりにコミティアへ電車で赴いた。前回の訪問時は原付を使いその楽さに体が慣れてしまったのだけれど、原付を使わずに新宿からりんかい線直通SSラインで行けば『何故?第二章零号-衝動-』を読めることに気付く。大崎を過ぎたあたり、森井御大の掲載作「君はフィクション」を読んで顎が下がったまま戻らなくなった。
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 15時前に会場に到着。ティアマガジンを買ったものの創作文芸島の緯度経度だけを確かめるとそれを閉じて、ひたすら創作文芸島をぶらぶらと彷徨うこととした。あの幸福だった一般参加者時代を思い返しながら黒居四季『在庫少女』や日野裕太郎『いずれ早瀬もじくじくと』、ヒロセアリサ『鉄道少女2』、冷亜暦『-A07』、みすてー『トランスポーターラブレター』、解凍みかん☆『かみまち』などを購入した。また、クロフネ3世のところで生原稿オークションをやっていたので面白い試みだと思い記念に入札する。改めて一般参加してみて、サークル参加のままでは分からなかったことが分かるようになると思っていたけれど、そんなことはなかった。お客様気分のまま、楽しい時間だけを過ごした。

 会終了後、鯨暦譜の打ち上げをした。超文学フリマ後に「鯨鳥三日と冷亜暦で合同打ち上げをすれば一挙両得じゃないか」と提案したけれど両領袖に却下されたためにできなかった鯨暦譜企画の精算をするためだ。文章を書いた以外は鯨の人は何もせずほとんどの作業を暦の人におしつけたため、その作業費及び材料代を鯨が「酒で購う」との取り決めを果たすためでもある。だが神保町のろしあ亭で高村暦さんがウォッカをストレートで呷ってはおかわりを繰り返すので鯨は顔面蒼白になった。おまけに「ちっちゃな水」然としたフラグマンを鯨に勧めてくる。鯨は食道の形を明らかにしながらそれを呷った。
 地理に暗い高村暦さんを千代田線お茶の水駅まで案内した記憶まではある。だが、脈絡も経緯も知らないまま、目覚めると鯨は上野不忍池のベンチに腰かけていた。ポケットにねじ込まれた、買ったばかりのhtcj butterflyのタッチパネルにはヒビが入っている。財布はちゃんと鞄に入っていたので上野浮浪者の礼儀正しさに感動した。
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by suikageiju | 2013-05-07 08:26 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
コミティア101戦利品
 「本当はAKBと握手しに来たんだけれど、君でいいから握手してあげるよ」とあるブースで売子さんに言ったら「気持ち悪い」と言われた。これは、東京ビッグサイトでAKB48「1830m」劇場盤発売記念大握手会&写真会があるというので行ってみたら実は同じ会場で創作系同人誌即売会コミティアも開催していたというお話しではない。
 朝目覚めると少年憧憬社の栗山真太朗さんから「コミティアで西瓜鯨油社さんは出店もしくは委託など行われますでしょうか?」という内容のDMが来ているのに気づいた。「今回を最後に、しばらくコミティアは出たくないです。」とコミティア100時のブログ記事に書いたのにあまり周知されていないようだ。ただ栗山さんはその時はお互いに存在を知らなかったのだから無理もないことである。でも

コミティア100で委託受託関係にあった伊織さんは知っていてもいいと思った。サークル参加はしないけれど一般参加はするのでコミティア101会場である国際展示場に向かうべく、原動機付自転車に跨がってエンジンキーを回す。コミティアはサークル参加するより一般参加する方が好きだ。国道246号で東に向かい、三軒茶屋で雨に降られて雨具を着込んでから渋谷署前で青山通りに折れる。三宅坂で右折して皇居と国会議事堂の間を東に進み、日比谷・銀座・築地など東京の臓腑を中央突破。そのまま晴海通りを直進し勝鬨橋で隅田川を渡り、晴海大橋を渡ってさらに直進すれば東京ビッグサイト東棟屋外駐車場に突き当たる。
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写真は晴海大橋から見たお台場地区、曇天である。東棟屋外に突きあたったら正門の方へ右折し、左手に見えてくるTAXI入り口で入ってやや進んでから左手、中央ターミナルのりんかい線よりに原付やバイクの無料駐車場がある。巨大赤のこぎりを下の写真のような角度から見る場所にあるので、二輪乗りは是非コミケ以外で原付または二輪でのビッグサイト入りを試みてはいかがだろうか。
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国際展示場では48グループの握手会があるという事情もあり「ウナギイヌ」や「首里城」「ぽんこつ」などの刺繍入り特攻服を多く見かけた。鯨も山田菜々と握手したかった。それはさておき、会場では山口県から上京していた周南ボーイと出会う。この男、鯨の大学時代の友人であった赤羊と高校の同窓であり、今回はその赤羊とその妹羊の分も購入を頼まれてコミティアに来たとのこと。ちなみに赤羊は大学生だった鯨をコミティアに連行し、創作文芸の惨状を目にさせ、西瓜鯨油社発起のキッカケをつくった男でもある。昼にはその周南ボーイと東京ファッションタウンビル二階でもんじゃ焼きを食べ、彼と妹羊との婚約はいつになるのかなどを話の肴に談笑した。

【戦利品】
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『YOZAN 01』、23時高円寺
 やや強引とも言える勧誘に遭い、「幽霊って悲し気ですよね」「幽霊ですと!」「主人公はとんかつ屋をしていた父親の幽霊にあいまして、その父親はとある秘密を息子に伝えようとするんです」「あ、わかった秘伝のソースの配合を教えようというんだな」「ソースはそうなんですが、そのソースをこぼした……」という話をしているうちに買ってしまった本。

『アリス症候群(上)』、鈴木真吾、C-ROCK WORK
 代理人から買った本。ちなみに鯨は大視症 macropsia のほうの不思議の国のアリス症候群だった。

『美大生を落とす50の言葉』、美大生を落とす50の言葉制作チーム
 「ハチミツとクローバー」のせいはないけれど美大生って日本の学生社会のなかで特別な存在。音大生と医大生くらい棺桶までに成し遂げるべきことが決まっていそうでカッコイイ。でも美大生は「落とす」存在なのかなという疑問も。「落とす」のは医大生と藝大生じゃないのかな? という疑念をいだきつつ、鯨は妥協として多摩美に向かうとしようか。この本を携えて。

『在庫少女 文学的有翼人種』、黒居四季、mono-lib
 良い匂いがする本。同人漫画家の少年と同人小説家の少女という関係がいい。この難しいところは同人小説家の少年と同人漫画家の少女ではまったく別の話になってしまうところと思ったんだけれど、それもまた面白そう。

『ファレノプシスと依存症』、黒居四季、mono-lib
 この人は絵も描けるんだね。いいな。

『鉄道少女』、ヒロセアリサ冷亜暦
 待ちに待った鉄道小説。鉄道っていいよね、乗っていればいつのまにか遠くへ連れて行ってくれる。たとえば中央駅から知床斜里までは五日かかる。これを書いたのは「亜」の人、ブースに座っていたのは眼鏡がなかったような気がするので「暦」の人だろうか。鯨が買ったときに売子として座っていたのはいったい「ど」の人だったんだろう。
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by suikageiju | 2012-09-02 18:48 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
COMITIA100と戦利品
 5月5日16時、COMITIA100の閉幕、あまりにもあっさり薄味で西瓜鯨油社最後のコミティアが終わった。関係者、そして参加者の皆様お疲れ様。ポプルスの配布数配分ミスで20部しか『物語群』が届かないはずだったのに40部届いたなどのミスはあったけれど概ね楽しくやれた。これもひとえに委託してきたLumiereさんや兎角毒苺團さんやmisticさんの助けがあってのことと思う。感謝したい。そして購入してくださった方々にも感謝、特に山口県周南市からコミティアのためだけに来京してくれた団体職員にも感謝である。竹箒さんのブースは近かったけれど買いにいけなかった。
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 また今回のコミティア参加で一番嬉しかったのが『物語群』を買ってくれたとあるうら若き女性との会話である。よく日焼けしたその沖縄風美女はじっくり5分くらいはかけて『物語群』の一部を熟読してくださったあとこれを1000円で購入した。立ち居振る舞いからたぶんサークル参加者ではなくて一般参加者、それも経験年数の浅い方だと鯨は一瞬で見抜いた。代金をいただき本を手渡したときに鯨は「どうやってこの西瓜鯨油社というブースにたどりついたのですか」とあまり普段は訊かないことを尋ねてみた。参加者がどうやってブースを探すのか知りたかったからだ。すると「コミティアは来るのは2回目なんですけれど、小説を読むのが好きでまわっています。読んでみたらステキだったので買わせていただきました」。これだ、と鯨は思った。こういうささやかな人生におけるささやかな本と人との出会い、そのために同人誌即売会は、そして西瓜鯨油社は存在するのだと、最後のコミティアで初心に帰ることができた。長い間の迷妄だった。
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 最後にいつもの戦利品一覧メモである(敬称略)。
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・『おおかみタクティクス』、桐生恭丞、夢桜
 新婚生活を送る桐生氏に手渡されたのはあのオオカミ

・『Hybrid!』、春夏秋冬春一番
 杏烏龍さんが座っていたので声をかけたら一大ライトノベル合同誌だった。

・『ペットボトルメール』、葉原あきよ、オレンジ宇宙工場
 なんか言葉がシュールだったので買ってみた。

・『続々笑半紙』『わらしべ』、太田和彦&『おばけのてざわり』、Began笑半紙
 夢を差し上げて、Began(ベガン)さんの名前の由来を聴く。

・『明日のジャムと昨日のジャム』、麻宮、牧師館の雨傘
 ちょっと文体が軽すぎるので個人的な好みではないけれど、なんか良い感じのサークルさん

・『Preserved flower』、鳥久保咲人&『世界の終わりに人は何を祈る~少年Aの場合~』、秋山写、Lumiere
 写真青年がシャッターを押す指で書いた処女作と鳥久保咲人の新作。両作品を比較研究することで創作文芸界に激震が走るかもしれない。

・『世界が終わったその後に。』、青波零也/砂紅果香、シアワセモノマニア
 なんだろう世界を包み込むような。

・『さいたま沈没。』『さいたま消失。』『さよならさいたま』、砂浦俊一、某高校編集部
 埼玉県民にあげるためだけに買った。

・『ヤンソンを読む』、三糸ひかり、ソベルテクァイユ
 「なぜこれを?」という三糸氏の質問に「鯨の周囲にいるヤンソン好きの心を知りたいから。鯨はとくにヤンソンに興味があるわけではない」と答えた。

・『In The Breeze Again -White Feathers 上 -』、RITSUKA、EYE OF THE MARK
 馬術部ものということで購入。続きものであることに難色を示した鯨に他の本を薦めてくれたが「今の興味は完全に馬に傾いているのです」とこれを購入。

・『JK/N』、なにおゆう、逢桜カインねこずきん
 お隣のサークルさんの無料配布本をいただきました。

・『水影に赤をきく』、日野裕太郎、下町飲酒会駄文支部
 驚愕の事実が発覚。

・『無題』、『幕間』、河村塔王、ICU
 二重構造小説すげえと思って購入。

・『L3 killing of genius "H" 第三巻』『L3 killing of genius "H" 最終巻』、迫田啓伸、侍カリュウ研究所
 TOYOTAの白帽子を被っている迫田さんに逢うためにコミティアに参加しているといっても過言ではない。これで最終巻かと思うと感慨一入である。
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by suikageiju | 2012-05-05 21:31 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
COMITIA100
 5月5日(土)こどもの日に東京ビッグサイトで開催されるであろう、そして記念すべきものになるであろうCOMITIA100に西瓜鯨油社は参加する。ジャンルはもちろん創作文芸だ。

【配置場所】
 ひ14b

【頒布物】
<新刊>
『物語群』 増補改訂版(568頁)
  『掌編集』と『複雑系』の完売後に待望の掌編・短編集として頒布された『物語群』、その増補改訂版。『コルキータ』の物語世界で、zugzwangな登場人物たちが織り成す83篇の物語群。



<既刊>
なし

【備考】
・「西瓜鯨油社」は「すいかげいゆしゃ」、「牟礼鯨」は「むれ くじら」と読みます。
・今回は無料配布本『浄められた花嫁の告白』があります。
Lumiereさんが売子を手伝ってくれます。その他、委託を受ける予定のサークル(兎角毒苺團)さんあり。
・今回を最後に、しばらくコミティアは出たくないです。
・質問などがございましたらコメントや「murekujira◎gmail.com」(◎→@)まで。
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by suikageiju | 2012-05-02 06:41 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
comitia100スペース確定
 パッとしない毎日を送っている、牟礼鯨である。COMITIA実行委員会から封筒が送られてきた。なんでも5600サークルが参加するというCOMITIA100に、西瓜鯨油社も参加することが許されたらしいのだ。「まさか」、そのまさかである。5000サークルの募集だったのだから「あ、西瓜鯨油社か。密かに書類不備ということで落としておこう」ぐらいの策謀があってもいいはずである。でも実行委員会は西瓜鯨油社にスペースを与えてくれた。なんと、ありがたいことか。そのスペース番号は

 ひ14b

である。両隣の人が哀れで仕方ない。サークルカットは寸法を変えたものを下に置く。
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by suikageiju | 2012-03-27 20:08 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
COMITIA100申込完了
 5月5日に開催され、申込サークルが既に4000サークルを超えたと云われるCOMITIA100に西瓜鯨油社も参加を申し込んだ。この記事は申込完了時に幻出した亡霊と牟礼鯨との間で交された対話である。

 君が自死したと聞かされたときは暫く何も手につかなかった。

亡霊 君らしくない。たかが人一人死んだだけ。平然としていればいいのに。

 こんなことを訊いていいのかわからないけれど、君の自死は鯨が原因だったのだろうか?

亡霊 ふざけないでくれ。僕の死に君は関係ない。僕は自らの死を自分で選び、自分で決めた。君はまったくと言っていいほど関係がない。

 そんなことを誇ったかのように言うな。生を諦めて死に逃げたことを功績のように誇るな。未熟な人間は、唯一美へ到達する手段として死を選びがちだ。生きてさえいれば何か、生きるための目的を見つけるかもしれなかったではないか。遺された者のことを想えとは言わない。けれど、産まれたという奇跡を、君はもっと浪費すべきだったよ。

亡霊 死者に、生前こうすべきだったなんて悲しいことを言わないでくれ。無駄に長く生きることに何の意味がある。僕の生はあの時点で完結していたんだ。十分に生きた、十分に生を楽しむことができたよ。僕の死に君は関係ないが、僕の生に君は確かに関係していたんだよ。

 そうか。君は死を選んだ。その決断を、鯨は尊重する。だが、鯨は生きることを決めた。しぶとく生き続けるよ。君が生きられた時間ではなく、鯨自身の残された生を。そのために、先月末、一次創作の同人誌即売会であるCOMITIA 100への申込を西瓜鯨油社は済ませた。

亡霊 おめでとう。COMITIA95以来のコミティア参加だ。ところで、何を出すつもりだ。新刊はあるのか? 君に新しい本を出すような燃えカスの才能はまだ残っていたかな。

 冥界でもイベント数を指折り数えてくれたかい。2012年5月5日、東京ビッグサイトに鯨は『物語群』増補改訂版を持って行く。嘲うなよ。

亡霊 嘲うよ。やはり、君は新しい本を出すことはできなかったようだ。気力が減退したのか、単なる老化か。前の記事によれば第一版に「浄められた花嫁の告白」を付け加えたものらしいね。

 老化もあるかもしれないけれど、分厚いのを古書ビビビさんに置いておきたいのとやはり物語こそが鯨のやりたい事業だと再認識したんだ。それに前の『物語群』は収録数73篇だったが、今回は収録作を78篇に増やした。値段は前と変わらず1000円の予定。これから世界を放浪しようという人や無人島で一年を暮らそうという人のための一冊、創作文芸究極の書物だ。前の『物語群』は50部しか刷っておらず、すぐに完売した上に、『コルキータ』を250部出したのに比べて部数に差が開きすぎている。なるべく多くの人が掌短編と唯一の中編を両方手に取れるような環境を整えたかったし、これは西瓜鯨油社の社会的使命だ。そのための増補改訂版。

亡霊 自意識過剰も甚だしい。誰がそんな環境を望むと思う? 君くらい頭のおかしい、日本語の通じない人間だけだ。

 「日本語が通じない」は「自分の言うことを聞き入れない」の言い換えにすぎない。

亡霊 君のいつもの論法だな。「他の人が見てどう思うでしょうか?」は「自分は気に入りません」、「常識を知らない」は「自分は理解できない」だろ。正しいかもしれないけれど、そんなことを言っていると嫌われるだけだ。君の前では、誰も聖人君子のフリをできない。君は確かに自分の欲望を隠さないかもしれないが、お願いだからそのわけのわからない論理を他人におしつけないでくれ。

 それが君が自死した理由か?

亡霊 

 もう消えてしまったのか。というわけで第十四回文学フリマの前日にCOMITIA100に西瓜鯨油社は参加する。サークルカットは下の通り。

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『物語群』を持っている人も持っていない人も、子供の日は東京ビッグサイトへ。こんなガイドブック企画(小説サークルガイド@COMITIA100)もあるらしい。現代小説は生きられなかった生のために、そして生きられないだろう生のために。
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by suikageiju | 2012-02-29 19:47 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
COMITIA95
 2月13日(日)に東京ビッグサイトで開催されるCOMITIA95拡大に西瓜鯨油社は、またもや懲りずに参加する。


【配置場所】
 へ28b

【頒布物】
<新刊>
『コルキータ』 174頁(2頁分だけ加筆!)
  「コルキータを買った男は四十日で死んだ」 子宮を奪われ、呪いを身にまとう美少女娼婦コルキータをめぐる、男たちの戦記。娼婦幻想譚。初版と第二版完売により、霜月みつか先生デザインによる新装第三版

『物語群』 500頁
  『掌編集』と『複雑系』の完売後、待望の掌編・短編集。『コルキータ』の物語世界で、zugzwangな登場人物たちが織り成す73篇の物語群。すでに残部僅少(五本の指が余るくらい)

【備考】
・「西瓜鯨油社」は「すいかげいゆしゃ」、「牟礼鯨」は「むれ くじら」と読みます。
・今回、無料配布本はありません。
・今回を最後に、コミティアは暫くお休みしたいです。
・質問などがございましたらコメントや「murekujira◎gmail.com」(◎→@)まで。
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by suikageiju | 2011-02-11 21:55 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
COMITIA94感想
 スタッフの皆様、一般参加とサークル参加の皆さん、お疲れ様。西瓜鯨油社のブースに来てくださった方はありがとう。鯨が長い間ブースを留守にしていたのに、弊社ブースに守護霊のようにいてくれた、マスク姿がチャーミングな鳥久保咲人さんにも感謝。今回は余り力を入れずに準備不足でコミティアに挑み、サークルカットには「Girasaux」と書いてあったにもかかわらずギラソーなんてどの本にもいなくて、呼び込みも一切していなかったけれど、楽しかった。売り上げの方は東京初売『奇貨おくべからず』も完売したし、『コルキータ』も6冊(累計176冊)売れた。まずまずである。委託してくれたLumiereと合算して30部といったところ。買ってくれた方には感謝。
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 今回は一年ぶりに山口から友人が来て、お土産に外郎をくれたし、他にも様々なサークルの方々や読者の方々と話した。Twitterで知り合った女子高生も来てくれたし、古書ビビビ経由で弊社を知った方も来てくれた。ここに来訪者全てを書くことはできないけれど、改めて同人誌即売会っていいものだな、と感じた。仕事と両立での文学活動というのは書くほどには容易くないけれど、「西瓜鯨油社」という機能は大事に酷使していきたいと思う。

【戦利品一覧】もう止めようとは思うけれどついつい
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・『藁半紙による笑半紙』、太田和彦、笑半紙
 西瓜糖文学賞応募作「犬の娘」や牟礼鯨によるレビューを掲載。
・『はなちょうちんプー』、くまっこ、象印社
 ふざけた題名のかわいらしい本。
・『アカドンコクロニクル』、北西彩、NorthWest航空
 アカドンコは食べることができるらしい。
・『うそつきむすめ』、伊藤鳥子、絶対移動中
 霜月みつかさんもオススメの一冊。
・『自分勝手な世界のミカタ』、白草、白緑桔梗
 まだサークル名を覚えていない。
・『言葉遊山 第六葉』 F.I.P
 白草さんと島田詩子さんの作品が掲載されている。
・『きらきら突破』、桐生恭丞、夢桜
・『かまどの女神』、桐生恭丞、夢桜
 しゃっくりが止まらなかったけど、愉快な面々
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by suikageiju | 2010-11-14 20:07 | COMITIA | Trackback | Comments(0)
COMITIA94
 11月14日(日)に東京ビッグサイトで開催されるCOMITIA94拡大specialに西瓜鯨油社は参加する。


【配置場所】
 も16a

【頒布物】
<新刊>関西コミティア新刊、東京コミティア初刊
・『奇貨おくべからず』70p
 西瓜鯨油社初の現代物。北辺都市「札幌」を舞台に繰り広げられる「娘」妄想劇。残部僅少、売切れの際はあきらめてください。

<既刊>
・『コルキータ』172p
 「コルキータを買った男は四十日で死んだ」 子宮を奪われ、呪いを身にまとう美少女娼婦コルキータをめぐる、男たちの戦記。娼婦幻想譚。初版100部完売により第二版。

【続報】nova!
 西瓜鯨油社ブースに文章系同人「Lumiere」の鳥久保咲人さんが売り子として勤務する予定。必見!

【備考】
・「西瓜鯨油社」は「すいかげいゆしゃ」、「牟礼鯨」は「むれ くじら」と読みます。
・『掌編集』『タロティスト』『複雑系』『西瓜糖』は完売いたしました。
・今回、無料配布本はありません。
・質問などがございましたらコメントや「barkituro◎gmail.com」(◎→@)まで。
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by suikageiju | 2010-10-31 08:34 | COMITIA | Trackback | Comments(0)