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第十五回文学フリマ
11月18日(日)開催の第十五回文学フリマに、西瓜鯨油社は純文学カテゴリで参加する。文学フリマとは文芸同人の同人誌や個人出版の書籍・zineを買える即売会である。その会場の一隅で西瓜鯨油社が頒布する本は鉄道奇譚『南武枝線』、既刊『コルキータ』の新装版、そして委託2冊だ。配置番号はA-08。鯨の背中には東京流通センター(大田区平和島)の冷たいコンクリート壁が広がっていることだろう。

【配置場所】
A-08
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【頒布物】
<新刊>
・『南武枝線』 (82頁)、牟礼鯨
 痴漢で出会った嘘つきとサイコパス。嘘つきの始めた「新日程」が南武支線を怪異させる。記憶を喪う鉄道幻想譚。
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・『コルキータ』 新装第四版(174頁)、牟礼鯨
 「コルキータを買った男は四十日で死んだ」 初恋の罪によって子宮を奪われた美少女娼婦コルキータは死の呪いを身にまとっている。この少女と出会い、恋の感染症のために狂気へと追いやられる青年ダオ。やがてダオの求愛行動は殖民地戦争という歴史のうねりにまきこまれ壮大な叙事詩となる。真実の愛さえあれば死の呪いから逃れられると信じたダオの運命は? 官能的言語で綴られた「娼婦幻想譚」第四版。
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・『少女孵化』(248頁)、未青藍委託
 男好きのアリカと男嫌いの尚(なお)は、幼なじみで親友だった。しかしアリカをひそかに愛する尚は、彼女の恋人である啓吾に関心を持ち近づいていく……。表題作ほか、1年後の後日談『少年孵化』を収録。(鯨:無料配布します)
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・『文学フリマ非公式ガイドブック』第二版(64頁)、委託
 第一版を146部売り上げた非公式ガイドブックの総入替新版を西瓜鯨油社でも頒布。
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<既刊>
 なし



【寄稿等】
兎角毒苺團(D-40)さんの『Icon mechanicarum』 機械仕掛けのイコンに「勃起不全機械」を寄稿しました。これは完売した『勃起不全機械β』の新字新仮名α版です。

rg(B-21,B-22)の高村暦さんの『視姦』の作品解説を書きました。産まれてはじめて作品解説というものを書きました。

【備考】
・「西瓜鯨油社」は「すいかげいゆしゃ」、「牟礼鯨」は「むれ くじら」と読みます。
・質問などがございましたらコメントや「murekujira◎gmail.com」(◎→@)まで。
・小便に対する強迫観念があるので頻繁にトイレに行きます。不在の場合は立ち読みして待っていて下さい。
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by suikageiju | 2012-10-31 13:39 | 文学フリマ | Trackback | Comments(0)
インディーズ作家としての闘い方
 他人を驚かせることは楽しい。誰かが驚いてくれたら、鯨がきっと愛してあげる。
 第十五回文学フリマが11月18日に迫って来ている。ネット上で、各地の書店で、下北沢で、文学フリマの文字を見かける機会が増えた。イベントの宣伝は別にしても、文学フリマ参加サークルの宣伝は「文学フリマ非公式ガイドブック」などの書評・感想以外はたいてい自作自演で行われる。自作自演だからこそ根本として作品が面白くなければならないし、それにその宣伝は劇的でなければつまらない。自作自演という言葉の印象が悪いようにとらえられているとしたらそれは単純に宣伝行為がつまらないからで、自作自演が原因ではない。
 「本の書き出し」という小説の冒頭部だけを集めたネットサービスがある。このサイトの存在を鯨が知ったとき、紀伊國屋書店の「ほんのまくらフェア」があれだけの関心を得た以上どこかのネットメディアがこのサイトを取り上げることは確実だな、と予測した。そこで「コルキータを買った男は四十日で死んだ」という拙著『コルキータ』冒頭の一文を登録し、ネットメディアで曝されればしめたものだと考えた。それに無名作家が桂冠を戴く故人たちと肩を並べるのもパラハラッテイン的で文学っぽいし、牟礼鯨であれば他に表示されている作家と比べ実力面では何ら遜色ない。おまけにサイトの趣旨をちゃんと汲んでいるから誰にも失礼でない。また、第四版を文学フリマで出す前に第三版を捌いてしまいたかったという事情もある。そこで登録してみたらtwitterで2名ほどが驚いた。


なかでも銀河系最強を驚かせただけでこの試みは成功と言える。更に予測通り「本の書き出し」はGigazineで紹介され、それが原因かは知らないが密林社委託でamazonにて販売していた『コルキータ』第三版は完売状態になった。
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それは鯨個人としては良かったのだけれど、残念なこともある。「本の書き出し」には日野裕太郎さんの作品はあったけれど他の創作文芸作品を見つけることはできなかった。もちろん他の人はこのサイトを知らなかったという可能性もあるし、登録してあるけれど鯨が知らないだけということもありうる。それでも数が少な過ぎるのが残念だ。単なる売名行為はくだらないし、実のともなわない自己承認のためだけの宣伝ではつまらない。でも作品がちゃんとしているのなら、なりふり構わず宣伝をやっていいんだよ。インディーズ作家にはインディーズなりのやり方があるのだから。
“「当たらない映画を当ててやる」というよりは、「作ったものをいかに当てるか」というスタンスで僕はずっとやってきました。役者に売れっ子を起用したり流行のテーマを設定してある種の担保を作らなくても、映画の中身を見せれば観客はついてくると今でも信じています。”園子温、『非道に生きる』


追補
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by suikageiju | 2012-10-28 12:08 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
少女孵化
 第十五回文学フリマにおける西瓜鯨油社の配置番号は「A-08」と決まった。そこでは新刊『南武枝線』と『コルキータ』新装第四版、「文学フリマ非公式ガイドブック第二版」の他、西瓜糖文学賞中澤いづみ賞受賞作家未青藍氏の『少女孵化』を受託する。無料配布だ。
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■書名
少女孵化

■筆名
未青藍

■紹介文
男好きのアリカと男嫌いの尚(なお)は、幼なじみで親友だった。しかしアリカをひそかに愛する尚は、彼女の恋人である啓吾に関心を持ち近づいていく……。表題作ほか、1年後の後日談『少年孵化』を収録。

■大きさ
文庫/表紙込み248ページ

■伝えたいこと
普段は電子のほうで同人活動をしています。鯨さんをはじめ精力的にイベント活動をされている方々を見て、紙で一度やってみたい…!と思ったので刷ってみました。とりあえず刷って満足したので無料配布したく思います。しおりとペーパーも付くのでぜひおひとつ! てか残っちゃっても困るのでお願いもらって!(笑)。電書のサンプルCDも付きますよん♪
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by suikageiju | 2012-10-26 06:37 | 文学フリマ | Trackback | Comments(0)
COMITIA102と第十五回文学フリマを何回往復できるか
 2012年11月18日(日)は東京ビッグサイトこと国際展示場で自主製作漫画誌展示即売会COMITIA102が、東京流通センターで創作文芸・評論オンリーの同人誌即売会、第十五回文学フリマが開催される。東京湾岸部で同日に創作文芸サークルがよく参加する同人誌即売会が開催されることで、いわゆるハシゴする一般参加者も多く出るだろう。ビッグサイトの最寄り駅であるりんかい線国際展示場駅と東京流通センターの最寄り駅である東京モノレール流通センター駅は、天王洲アイル駅で乗り換えれば大体520円20分で行ける。歩行時間も含めれば30分もかからない。そこで両イベント開催中に、それぞれの駅地域に最低1時間は滞在するとして両イベント会場を何回往復できるか、それぞれの駅地域に合計何分滞在できるかを計算してみた。

最初にCOMITIA102の場合:
  COMITIAに2回(134分)、文学フリマに2回(163分)
  交通費;520円×3=1560円
最初に第十五回文学フリマの場合:
  COMITIAに2回(124分)、文学フリマに3回(149分)
  交通費;520円×4=2080円

 滞在時間は最初にCOMITIA102を訪れた方が24分長い。それに最初に第十五回文学フリマを訪れた場合、三回目の流通センター駅地域滞在時間はたったの10分である。これではどこのサークルへ行くかを予め決めておかないと何も買えない、いや決めていても何も買えない。どうやら両イベント会場1時間毎を往復する予定の人はまずCOMITIAの一般参加者行列に並んで正午まで東京ビッグサイトに滞在してから往復を始める計画を立てた方が良さそうだ。両イベント会場往復は単なる愚行のように思われがちだ。でも、単なるハシゴとは異なり、同じイベントに時間をずらして二回訪れることで、遅く来たり早く帰ったりするサークルさんをおとなうことができる。また、移動時間をカタログ熟読時間に当てることで無駄な時間を削ぐことができ、ただのんべんだらりと過ごしがちな同人誌即売会イベント一般参加に時刻表による秩序と緊張を付与することができる。
 ただ、どう足掻いても往復はせずに午後2時ごろに東京ビッグサイトから東京流通センターへ移動するのが一般的なハシゴとなるだろう。でも是非、11月18日の二大イベント往復紀行文を読んでみたいものだ。

行程表
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by suikageiju | 2012-10-24 23:24 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
第十五回文学フリマの二冊と委託二冊
 来る11月18日(日)開催の第十五回文学フリマ、西瓜鯨油社では新刊『南武枝線』と『コルキータ』新装第四版を頒布する。それと同時に委託を受けて西瓜糖文学賞中澤いづみ賞受賞作家未青藍氏の無料配布本『少女孵化』と『文学フリマ非公式ガイドブック第二版(仮)』を頒布する予定。
 数年前までは地味な表紙の創作文芸本が多かったように思われるけれど、昨今は各サークル、宗旨変えでもしたのか文学フリマで頒布される本であっても派手な色彩をした表紙やアニメ風少女絵表紙で着飾った文芸書が多くなり、電車や公共の場で読書をする機会の多い人の創作文芸本読みを難しくしている。創作文芸本を外で読むな! カバーをかけろ!周囲の視線なんて気にするな! と叱咤される御先達もいるだろう。しかし、創作文芸本も外で読みたいし、文庫本ならなんとかなるとしても文庫読みでは同人誌特有のサイズのカバーはなかなか手に入らず、周囲の視線を気にしないような本で読書をしたい。
 ただ読む側から頒布する側に回ると、やはり派手な色彩をした表紙の方が文学フリマ逍遙者の目を惹いて手にとってもらい易いと考えるのも無理からぬ思いである。というわけで弊社も宗旨変えをしてちょっと派手目の本と地味な本を同時に刊行することにした。題して「北武プリンセス、原宿に降り立つ」である。
 まず埼玉県北部、県境を越えれば群馬県という田舎町在住の女子高生はたいてい三つ編みお下げで牛乳瓶底のような眼鏡を掛けている。そして、父親、祖父、曾祖父とはるか祖先を辿ると埼玉古墳群のどれかで眠っている王か国造という高貴な生まれだ。町会議員をしている父親の軽自動車(スズキかダイハツ)で送られて最寄り駅から宇都宮線とか高崎線とかその辺の路線に乗り、東京を目指して電車に揺られながら読むのが地味目な黄表紙の『南武枝線』である。
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 この痴漢礼賛に満ちた本を長椅子の一番端に腰掛けて読みながら、上辺だけのつきあいをしている学校友達の間で噂の埼京線先頭車両(恐くて入れない)での道ならぬ出会いと恋に胸をときめかせる古墳ギャル。この本、中身とは裏ハラに表紙の色合いは一昔前の英語の参考書のようだし、背表紙には何語かよくわからないけれどラテン文字が打たれているのでどことなく知的。荒川を越えて池袋駅かどこかで山手線に乗り換えて数駅、降り立つは原宿駅。近くの公衆便所でスーツケースにしまっておいた今時のロリータ服に着替え、髪を下ろし、同時に本も着替える。新しい本はローズ・ドラジェとヴェニス・ノワールのボーダー柄が表紙の『コルキータ』新装第四版。
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 この本はもうすでにいろいろな版で何回も読んであるから木蔭のベンチで腰掛けて頁を繰っても流し読みするだけの知性アピール。そして気に入った文を見つけるとそのフレーズを諳んじながら遊歩道を駆け出す桃色背黄青鸚哥。竹下通りで他県からのぼってきた子とすれ違えば(こんなのアンタ持っているの?)と誇らしげに『コルキータ』を見せびらかし、あきらかに東京出身と思われる洗練された子が歩いていれば(私は古墳ギャル。野毛大塚古墳しか見たことない子とは違う、あんな帆立貝の形をしたできそこないと一緒にしないで)と自分に言い聞かせる。心に抱くは前方後円墳、腕にはいつも『コルキータ』。
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by suikageiju | 2012-10-23 08:05 | 文学フリマ | Trackback | Comments(0)
関西コミティア41報告
11月14日(日)大阪は天満橋OMMビルで開催された関西コミティア41に参加した。今回の鯨は8時20分頃に会場入りし会場設営を手伝う。今まで同人誌即売会にただサークル参加するだけで、会場入りしたら整然と机が並べられているという御業に対して感謝の念がなかなか湧かなかったのでこのようなサークル入場前の準備手伝いに参加したのだ。軍手がなくても大丈夫だろうと思ったのだけれど、机を並べ終わったころには煤がついて指が黒くなるので手伝い参加希望の人は自分で軍手を持って行った方がいいと思う、特にうら若き女性。会場設営は、まず位置基準として置かれた机の横に机を降ろして一列に並べ、紐で列の位置を微調整して揃えてから天板を水拭きし、机1脚についてパイプ椅子を2脚ずつ置いていく。それが済んでからサークル名札とアンケート用紙とスペース番号のアルファベットが印字されたA4の標示紙をセロハンテープで机に貼っていって、追加椅子を内側に立てかければ準備完了。なのだけれど、スペース番号の標示紙を貼り終わった時点で机と椅子が一列多いことが発覚してしまう。
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どこかで誰かが机の数を間違えて位置がずれてしまったらしい。そこで入り口から見て一番右の一列を取り除いて、そこからズレた部分まで机やら標示紙やらを修正していく作業をスタッフさんとお手伝い集団で頭を抱えて悩みながら行い、その後で列の間隔が均等になるようにほとんどの列の位置をずらさざるをえなかった。そのためサークル入場も9時45分から10時に延期される。そのゴタゴタのなかで紐もなしに列の微調整の判断をするようにとスタッフさんから命じられたのが、運悪く端っこで立っていた鯨である。最初は真剣に調整の指示を飛ばしていたのだけれど、時間もおしてきているし、誰も本当に真っ直ぐな列なんて望んでいるようではなかったし、そもそもそんなに列もずれてもいなかったので「はい、ここは大丈夫。ここも大丈夫。大丈夫。大丈夫? 大丈夫かよ? 大丈夫」とさっさと終わらせた。もし開催中に「あれ、列がまっすぐじゃないよ」と気に障ったら鯨のせいだ。結局一時間以上動き回って重いものを運んでなかなか大変だったけれど、サークル入場までの準備がこんなに大変なんだと身を以て体験できて良かったし、『ティアズマガジンかんさい』も一冊もらえて良かった。10時のサークル入場前にブース設営に取りかかれるのもメリットの一つだろう。今回のブースの内容は本の杜2とほとんど同じだ。
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そして11時に開場。さすがに800サークルもあると人が流れているのが手に取るように分かる。前回の関西コミティア37で『コルキータ』を買ってくれた方がまた来てくださったり、たまたま見本誌コーナーで『flugas filozof'』の最初の2頁分を読んでくださった方がグッときて全冊買ってくださったり、最後の方に『コルキータ』のレビューを書いてくださった方が来てくださったりして計12冊頒布した。前回の関西コミティア37が計7冊だったからやはりサークル数が増えるというのは効果があるんだね。『物語群』と『勃起不全機械β』は手持ち分は全冊捌けたので次の即売会参加となる来月の第十五回文学フリマはすべて新刊を頒布することになる。開催中、関西文芸サークルの雄「五里のさと」の杏烏龍さんや狭山さん、福岡でもお会いしたTAKAさんや堕天王さん、風城国子智さんや水城麻衣さんとお会いして、終了間際に壁サークル「猫時間」の井ノ上岬さんが集団で来てくださった。さすが西日本最大の創作系同人誌即売会といった態だけれど、西瓜鯨油社の両隣とも15時くらいには帰郷されて、人通りもその頃には疎らになっており大阪のイベントにおける「午後の伸びしろの無さ」を再び実感した。でも見本誌コーナーを通りかかると決まって500頁超の文庫本を立ち読みする方がいたので、創作文芸への関心がないわけではないようだ。来年の4月14日まであと半年、各サークルがそれぞれ関西圏の読書好き・創作文芸好きに対して何を訴えかけられるか、考えていかないと。15時半の閉幕とともに片付けを始めて段ボールをクロネコヤマトに託し、地下二階にある「二味」でイカ・キムチ入りのお好み焼きを食べたあと、17時10分新大阪駅発の「のぞみ」の自由席に乗って帰京した。帰宅したのは20時半になった。さすがに西瓜鯨油社の次の大阪での同人誌即売会参加は第十六回文学フリマだよね? そういえば2013年3月24日にOMMビルで「そうさく畑収穫祭2013」が開催されるというけれども。

【戦利品】
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・『ゆく年くるいとこ』、TAKA、True Memory
 TAKAさんと兎角毒苺團の伊織さんは秋葉原時代の文学フリマ後に秋葉原でガールズトーク()をしていた?

・『オーバーラップ外伝』、杏烏龍、五里のさと
 凛々しいかえで。

・『羽人物語 星籠』、咲祈、ルート零
 名古屋コミティア41で買い損ねた本。

・『くだんはうそをいわぬ たずね狛犬の夏』、水城麻衣、Mizkid
 挿入がなければBLもドンと来い。

・『隣り合わせの世界で僕らは孤独なふりをする』、斉藤さくら子、猫時間
 超巨大壁サークルさんの本を勉強のために買わせていただいた。
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by suikageiju | 2012-10-14 22:29 | 大阪 | Trackback | Comments(0)
ジョソウダンシ!!
服飾は人間にとって記号に過ぎない。だから服飾を主とする装いには本来男装も女装もない。装いに興味がない人間にとっては伝統衣装やスカートを履いている場合を除いて男性と女装の違いなんて分からない、分かるのは色が派手かそうではないかくらいのものだ。しかし「女装」と称呼した時点でその服飾は女性特有の装いという意味になる。そして「女装」に「男子」を組み合わせて女装男子としたら服飾倒錯である。このように服飾倒錯は服飾自体の形によってではなく言語によって規定される。そして、この本は小説本であり表現はすべて言語によって為される。収録作二編「カヲルコ」「ミントブルーの回転」に出てくる二人、カヲルコとかおるは「ギンガムチェックのワンピース」「苺柄のロリータ服」「ピンク色の裾が膨らんだワンピースに、白いレースがあしらわれた襟の、ロリータ服」「水色のワンピース」「タンクトップタイプのワンピース一枚」「オレンジが基調」の浴衣を着ている。それぞれの衣装がどんなものかなんとなく分かるけれど明瞭ではない。けれどそれらが女装であることは題名から推測できる、と思って表紙を見返した読者を惑わすように題名は片仮名で「ジョソウダンシ!!」である。「ジョ」に「女」の意味はなく、「ダンシ」に「男子」の痕跡はない。カヲルコとかおるがどんな衣装を身にまとっているかは僅かな地の文と他の登場人物の反応からうかがうことしかできない。「ジョソウ」は全裸かもしれない。彼らは全裸で歌い全裸で花火を見ている。なんとなくエロス。(「ジョソウダンシ!!」没原稿)
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by suikageiju | 2012-10-13 08:00 | 感想 | Trackback | Comments(0)
文学フリマ非公式ガイドブック第二版第二回編集会議
コミュニケーション能力や血筋なんて役立たず、文章能力を学歴や賞歴は担保しない、ただ文章が上手いかストーリイが面白いかで評価される、日本国で唯一の文章業界「創作文芸」。だが誰もがその事実に目を瞑ってただ「なんでか知らないけど売れないね」と自虐的で平和な日々を送ってきた。停滞がもたらした平穏に甘んじていた箱状列島に突如襲来したのが文芸怪盗「佐藤」、文学海獣「鯨」、戯曲妖怪「屋代」の三羽烏である。この3人は今年6月、第十四回文学フリマにて創作文芸界に『文学フリマ非公式ガイドブック』第一版を非情にも叩きつけ、作家同士の気遣いや衒学趣味や文豪虎の威借りや色物主題や文学賞選考序列で騙し欺きやってきた創作文芸島の虚飾を暴いた。お山の大将たちには恨まれたけれど何ら怯むことはない。第十五回文学フリマで第二版を出すための第二回編集会議は、第一版を委託した古書ビビビさんのある下北沢は駅西口近くにある区民集会所で10月8日に開催された。新宿、神田と今まで編集会議が開催された山手線内側から外れたのは単にここに縁があり、そして貸会議室の料金が安かったからだ。ちなみに古書ビビビさんにある第一版は残り6部ほどになっているという。
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14時にぱらぱらと集まったのは例の三羽烏とblank magazineのお2人、銀河系最強との呼び声ももう飽きただろう秋山真琴氏の5人。そして最後に真乃晴花さんがやって来てから延々2時間、隣室から流れてくる代野英人プロデュースさんたちの「偏屈王」の読み合わせをBGMに、応募された第十五回文学フリマ新刊のなかから新刊枠にどの本を入れるか、そしてその推薦文を誰が書くか、第二版ガイドブックは何頁にまでならできるか、まだ決まっていない編集コメントは誰が書くのか、掲載順はどのようにするのか、そもそも第二版は何部刷るのか、第十五回文学フリマ開幕前までの宣伝方法、当日の動きや頒布方法、次回大阪文学フリマ以降の編集委員会のありかたについて16時頃まで話し合った。そして第十六回文学フリマin大阪合わせで第三版をどんな形であっても上梓することも決定された。
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編集会議終了後は途中退席した野条さんを除いたメンバーで西口踏切を渡り小田急線を跨いで南口商店街を茶沢通りまで下りて古書ビビビを表敬訪問し、そこで離脱した吉永さんを除いた5人でスズナリ近くにある四文屋なん八で毎回恒例となった打ち上げをする。そこでW伊藤問題などを持ち出しながら、評論のあるべき姿や非公式ガイドブックが文学フリマに対してどんな働きかけをできるかについて秋山仕切りで話した。また、第十五回文学フリマ後の非公式ガイドブック打ち上げは雲上回廊打ち上げに混ざって行われることも決定された。そして非公式ガイドブック第一版に唯一批判的なコメントを寄せてくれたパセリさんが第十五回文学フリマでは書評集を出すことも話題になった。

このように文芸同人誌を書評すること自体に躊躇いのあった頃から事情は変わり、書評を「上から目線」だとか「自分達のプレゼンスを誇りたい」だとか言って忌避する風潮はなくなりつつあるようだ。

これを文学フリマ非公式ガイドブックだけの功績だとは思わないし、思いたくない。井伏氏をはじめ先駆者の屍があってこその今だと思うし、さまざまな批判を非公式ガイドブックに注いでくれた方がその批判しているだけの状態から立ち直り自ら意志を持って独自に企画を立ち上げてくれたからこそ文学フリマの創作文芸分野でこのような生産的な動きが出てきた。願わくばさらに文芸同人誌書評サークルが林立し、そのなかで本当に「全てのサークルの本を読んだ上での書評本」を出してくれた人がいたら、文学フリマ非公式ガイドブック編集委員会はその人の前に跪くだろう。早く誰かそんな稀有な人にこの編集委員会を継承したい。
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by suikageiju | 2012-10-08 22:10 | 文学フリマ | Trackback | Comments(0)
Straycat 創作文芸同人誌感想サイト
本の杜2に参加した報告記事を書いたところ、同人誌の感想サイトStraycatを運営されているという御拗小太郎氏からリンク申請許可を求めるコメントを戴いた。リンクフリーのこの時代に律儀にリンク申請を求めて歩く真摯さに胸を打たれ今後は無断でリンクしてくださいと鯨はメールを送る。それにしてもStarcat、野良猫、はて小泉哉女さんはどこへ行ったのだろうと疑いを抱いたけれど、すぐにそんな思いは解けた。現在Starcatへは20冊ほどの創作文芸同人誌についてレビューと10件程のイベントについてレポートやリンクが投稿されている。まだまだ内容は充実しているとは言い難いけれど御拗小太郎氏は「個人目標としては創作文芸の同人イベントを打ちたいです。今はそのための仲間集めをしているといった所でしょうか」(about me)とこれから茨の道を行く覚悟らしいので応援したい。文学フリマ文傾福岡ポエイチ本の杜、誰も幸福になんてならない文芸オンリー同人誌即売会の歴史に新たな禍根を残そうというのならば誰も氏を止めようとしないだろう。
11月には第十五回文学フリマが開催される。既存の創作文芸見本誌会場HappyReading文学フリマ非公式ガイドブックみんなの文学フリマ情報ウィキ文学フリマ小説棚などと並ぶ創作文芸界躍進の道具としてStraycatを利用したい。でもHappyReadingといいStrayCatといい、言葉で戦う者共を応援するサイトなのにどうして郊外のラヴホテルや場末のスナックのような称呼ばかり付けられるのだろうか。別に英語でなくてもいいのに。
名称なんて飾りのことはともかく、機能に目を当てよう。文芸同人誌の感想はいつも胸に秘めているけれど文章にして載せる場所がないと悩んでいた人には〈野良猫〉StrayCat、お勧めのサイトだ。
注意: http://text-revolutions.com/review/
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by suikageiju | 2012-10-04 00:27 | 雑記 | Trackback | Comments(0)